日本から新興国に行く場合に「それなりに楽しそうだ」とか「不自由はなさそうだ」と思えるかどうかは重要な要素だ。バングラデシュのビジネスチャンスはそこにある。
アジア新興国バングラデシュは、まだまだ社会インフラが十分に整っている状態ではない。そのため、バングラデシュへの進出をためらう企業も多いが、一方で、そういう状況にこそ大きなビジネスチャンスがあると考え、インフラ整備の分野に参入する企業も存在する。本稿では、バングラデシュにおける社会インフラ整備の概況を伝えるとともに、わたしが今、最も必要と考えている社会インフラを紹介する。
これまで、アジア新興国バングラデシュについて、民間企業からの観点や政府機関からの観点を中心にレポートしてきたが、それらの記事でも述べてきたように、バングラデシュは、経済的な成長と発展の途上にある一方で、それらの基礎となるべき社会インフラが十分に整備されていない。このことは、いくらバングラデシュに大きな市場が存在し、大きな可能性があるとしても、バングラデシュ進出を思いとどまらせるに足りる要素となってしまうだろう。
一方で、不十分な社会インフラだからこそ、バングラデシュに大きなビジネスチャンスがあると訴えたとしても、「社会インフラ」という言葉が持つ大規模なイメージから、一部の大企業しか取り組むことができないととらえられることだろう。実際、国家政策のレベルでの社会インフラの整備となると、名だたる大企業でなければ難しいことも多く、こちらで耳にするのも大企業の名前が多い。
しかし、わたしがバングラデシュ・ダッカに滞在し、生活者目線で社会インフラを見てみると、企業規模の大小を問わず、日本企業がビジネスチャンスとしてとらえることができる産業領域が存在することが分かってきた。
まず、バングラデシュにおける社会インフラの整備状況について、その概況をいくつかご紹介しておく。
わたしがここバングラデシュで活動を進めるにあたり、最も気になったのは、交通インフラである。ダッカの中心部から20キロメートル離れた場所に訪ねる際、交通渋滞がひどい時には2時間もかかることがある。ビジネスを行う上で、時間が読めないということは致命的であるため、早急な改善が望まれる。現在、鉄道網整備事業等も進められており、バングラデシュ政府のみならず、各国の支援事業によって改善が図られようとしているところである。
これまでの掲載記事にも記したとおり、安定的な電力供給についても課題がある。単に生活を送るだけであれば、一日数回の停電は慣れてしまうものだが、工場の操業・運営となると、大きな問題である。これについても、日本のODA予算や世界銀行からの資金によって、発電所建設事業や配電網整備事業などが行われている。近年では、運輸交通の整備にかかわる事業と併せて電力・ガスといったエネルギー資源の安定的な供給のための事業に力が注がれており、早期改善に向けての対応が進められているところである。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授