衰退期の末期の企業に行って感じるのは、「しらけ感」、もっと言えば「あきらめ感」です。このような現実の中から少しずつ会社が変わって、数年で見違えるほど良くなっていくのですが、付き合った当初、会社の経営者も従業員もまさかこんなに会社が良くなるとは夢にも思っていませんでした。
このような企業と付き合う中で確信したのが、会社が変わっていくには、順番があるということです。これを一般的には「Jカーブ効果」と言います。こういうとなにやら新しい経営理論だと誤解をする人がいますが、実際にJカーブ効果を作り上げてみると、これは経営理論でも何でもありません。日本に昔からある「急がば回れ」を現代の経営に当てはめたものだと思ってください。
本の中ではJカーブ効果を「7つのステップ」に分けて考えます。7つとは、(1)現実を直視する、(2)腹をくくる「ダメでもともと」、(3)新しい考え方・習慣で小さくゆっくり動き始める、(4)変革に伴い発生する難局を1つひとつ乗り越える、(5)会社の中で何かできそうな予感が出てくる(光が見えてくる)、(6)いろいろな試行錯誤の中から「戦略」が見えてきて、実行する、そして最後が(7)成果が出てきて、Jカーブが完成する、です。蛇足ですが、(1)から(5)までが文化に関することであり、それらの上に(6)の戦略が加わり、(7)の成果が加わることでバリュートライアングルから見た企業価値の三角形が最大になり、衰退期の末期の企業価値の創造の軌跡となり完結します。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
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明治学院大学 経済学部准教授