「企業価値を高める」、というと「理論を勉強すればいい」と多くの方が考えますが、これはまったくの誤解です。企業価値を高めるのなら、一歩を踏み出し具体的に実践しないと意味がありません。実践する中から自分の五感を使って、実際にJカーブの7つのステップを実感として経験することが重要です。
例えば、元従業員が、当時の会社の状況を次のように語ってくれました。「『成果の出ない考え方』にいつまでもしがみついていたので滑稽だった。「古い考え方」の方向性は明らかに間違っていた。この延長に未来はないと分かっていた。だから、変えるしかなかった。何か自分たちが信じられる『新しい考え方』が必要だったのだ」。これは、7つのステップに照らし合わせると、ステップの(1)や(2)の途上で上がってきたコメントです。
あるいは、ある30代後半の若手課長は、振り返って「『あるときから、事業が自分の手のひらにある感じがするようになった』と、語っていた。彼は、それまで会社の事業に自分がなんらかの影響を及ぼせるなどとは夢にも思っていなかった。でも、『自分のやりようによっては、すごいことができるのではないか?』とすっかり考えを変えてしまった。するとたちまち、仕事がおもしろくてしかたなくなったという」。これは、7つのステップに照らし合わせるとステップの(4)や(5)の途上で出てきたコメントでした。
このように、企業価値を高めるとは、実際に一歩を踏み出し歩みながら見えてくる景色を変えていき、結果として数字に結び付ける活動に他なりません。
自身の会社に照らし合わせて、実際に「Jカーブ効果」を現実のものとして作り出すのに「ワクワク会社革命」がその一助となれば幸いです。
株式会社バリュークリエイト・パートナー、公認会計士、米国公認会計士。
慶応義塾大学ビジネススクール講師。1987年青山学院大学卒業後、アーサー・アンダーセン東京事務所に入所。1991年、アメリカに転勤。以降9年間、マーケティング、リスク管理、プロジェクト管理、顧客管理、品質管理、人事・教育、ナレッジ・マネジメントなどの「見えない資産」のマネジメントを実践する。2000年に日本に帰国、ベンチャー企業勤務を経て2001年に株式会社バリュークリエイト設立。企業の経営者に「5つの資産™」と「バリュートライアングル™」を使って企業価値創造の視点からの経営アドバイスや、マネジメントチームの構築、次世代の経営者の育成サポートを行っている。
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明治学院大学 経済学部准教授