手段ばかりに気を取られていると、目的を見失ってしまうことがある。問題を解決するには意識を変えて本質をとらえることが肝要だ。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
上司 「あ〜、壁にぶち当たった」
部下 「良くあることです」
上司 「どうしようもなくなった」
部下 「ま、コーヒーでも飲んで」
うろたえる必要はありませんが、コーヒーを飲んでも、問題は解決しません。
問題解決には、コツがあるのです。このコツを会得している人が、問題解決能力の高い人なのです。ビジネスでも人生でも、成功していく人は、こういう人なのです。問題解決能力は、情報収集能力でもデータ分析能力でもないのです。
仮説検証法は、問題解決の1つのやり方です。いろいろな仮説を立ててみて、それぞれを検証することで、問題を解決しようとするものです。実はわたしたちは、日常的な問題は、ほとんどこの方法で解決しています。原因と結果の検証が行われている事例があれば、そこから仮説が立てやすいからです。
ところが、前例や事例のないものは仮説が立てにくく困るのです。「風が吹けば桶屋が儲かる」という仮説は、そう簡単に思いつかないですよね。仮説を立てる能力に依存するやり方は、ビジネスでは好ましくありません。なぜなら、情報の量を増やすことと、品質を保つことにリソースがとられるからです。
つまり、「力技だけでは、問題解決の限界がある」ということです。コツを知り、コツを人や組織として保有していることが重要です。そうすれば、新しい問題に直面しても、解決することが出来るようになるのです。
上司 「何か、ほかに解決策はないのか」
部下 「あらゆる方法を試しました」
上司 「調べ方が悪いのではないか」
部下 「……」
気ばかりが焦っているようですが、解決策を求める前に、やらねばならないことに気が付いていません。
問題解決を1つと考えるのではなく、5つに分解しましょう。何事にもステップ・バイ・ステップです。それは、「問題の認識(Identification)」「改善点の特定(Specification)」「解決手段の選択(Selection)」「解決手段の適用(Utilization)」「改善効果の評価(Evaluation)」です。それぞれの頭文字をつなげて「ISSUE分解」と覚えてください。
「解決手段の適用」だけでいいという方も多いと思います。問題に直面していると、すぐに解決したくなるものです。扉を開けるためには鍵が必要です。その鍵が、どこかにあるのか、徹底的に探したくなるものです。しかし、誤った「改善点の特定」をしている時もあります。本当に改善しなければならいところは、別にあるかもしれません。現象として現れているものを解決しようとしていないでしょうか。表面的なところばかりを見ていないでしょうか。もしかしたら、幻想にとらわれているかもしれません。
そんなときは、フェーズに分解することが大切です。大きな問題に直面しているときほど、時間と費用を浪費しないために、1つずつ確実に進めていかなければなりません。鍵のかかっている扉が、出口かどうかを確認するのが先だということです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授