「離れる勇気」を持つことが問題解決のコツビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

手段ばかりに気を取られていると、目的を見失ってしまうことがある。問題を解決するには意識を変えて本質をとらえることが肝要だ。

» 2010年04月01日 08時15分 公開
[横田尚哉(ファンクショナル・アプローチ研究所),ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


問題は力技ではなくコツで解決

上司 「あ〜、壁にぶち当たった」

部下 「良くあることです」

上司 「どうしようもなくなった」

部下 「ま、コーヒーでも飲んで」


 うろたえる必要はありませんが、コーヒーを飲んでも、問題は解決しません。

 問題解決には、コツがあるのです。このコツを会得している人が、問題解決能力の高い人なのです。ビジネスでも人生でも、成功していく人は、こういう人なのです。問題解決能力は、情報収集能力でもデータ分析能力でもないのです。

 仮説検証法は、問題解決の1つのやり方です。いろいろな仮説を立ててみて、それぞれを検証することで、問題を解決しようとするものです。実はわたしたちは、日常的な問題は、ほとんどこの方法で解決しています。原因と結果の検証が行われている事例があれば、そこから仮説が立てやすいからです。

 ところが、前例や事例のないものは仮説が立てにくく困るのです。「風が吹けば桶屋が儲かる」という仮説は、そう簡単に思いつかないですよね。仮説を立てる能力に依存するやり方は、ビジネスでは好ましくありません。なぜなら、情報の量を増やすことと、品質を保つことにリソースがとられるからです。

 つまり、「力技だけでは、問題解決の限界がある」ということです。コツを知り、コツを人や組織として保有していることが重要です。そうすれば、新しい問題に直面しても、解決することが出来るようになるのです。

問題を5つに分解すると解決策が見えてくる

上司 「何か、ほかに解決策はないのか」

部下 「あらゆる方法を試しました」

上司 「調べ方が悪いのではないか」

部下 「……」


 気ばかりが焦っているようですが、解決策を求める前に、やらねばならないことに気が付いていません。

 問題解決を1つと考えるのではなく、5つに分解しましょう。何事にもステップ・バイ・ステップです。それは、「問題の認識(Identification)」「改善点の特定(Specification)」「解決手段の選択(Selection)」「解決手段の適用(Utilization)」「改善効果の評価(Evaluation)」です。それぞれの頭文字をつなげて「ISSUE分解」と覚えてください。

 「解決手段の適用」だけでいいという方も多いと思います。問題に直面していると、すぐに解決したくなるものです。扉を開けるためには鍵が必要です。その鍵が、どこかにあるのか、徹底的に探したくなるものです。しかし、誤った「改善点の特定」をしている時もあります。本当に改善しなければならいところは、別にあるかもしれません。現象として現れているものを解決しようとしていないでしょうか。表面的なところばかりを見ていないでしょうか。もしかしたら、幻想にとらわれているかもしれません。

 そんなときは、フェーズに分解することが大切です。大きな問題に直面しているときほど、時間と費用を浪費しないために、1つずつ確実に進めていかなければなりません。鍵のかかっている扉が、出口かどうかを確認するのが先だということです。

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