最終回となる今回は、リレーションシップ・クライシスを乗り越え、事業自体に劇的な変貌を起こしていくための原理と解決の糸口をご紹介します。
このコラムではこれまでに2回にわたり、「はじめは単なる意見の食い違いだったものが、状況が深刻になるにつれて、根深い感情的な対立にまで発展し、その結果、組織が崩壊状態になる」という社会的な現象、リレーションシップ・クライシスをご紹介してきました。
最終回となる今回は、リレーションシップ・クライシスを乗り越え、事業自体に劇的な変貌を起こしていくための原理と解決の糸口をご紹介します。
リレーションシップ・クライシスを突破するための一番の鍵は、組織のメンバーが評論家・分析家の姿勢から当事者の姿勢へと意識転換することです。当たり前じゃないかという声が聞こえてきそうですが、これは私たちが思っているほど生易しいものではありません。
今まで自分は被害者だと思い込み、他人を強烈に批判し続けていた人が、自分も問題の片棒を担いでいる一人であるということに気付き受け入れていくということはとても過酷な作業です。
想像してみてください。あなたがいままで自分は被害者であると思ってきたことが、自分が問題の引き起こし手だったいうことが言い逃れできないほど明らかになったとしたらどうでしょうか。なかなか受けいれ難いのではないでしょうか。そのことをきちんと認識した時、身体に衝撃が走るほどショックを受けると思います。
しかも、それを1人や2人ではなく、集団で起こしていくのですから、非常にチャレンジングなことです。
図1は、評論家・分析家姿勢から当事者姿勢への意識転換プロセスを表しています。評論家・分析家姿勢から当事者姿勢に転換するプロセスには共通した独特の現象が見られます。リレーションシップ・クライシスの解決では、この意識転換の状況に応じて変容のサポートを行っていきます。
リレーションシップ・クライシスの突破するための一番の鍵は、評論家・分析家の姿勢から当事者の姿勢へと意識転換をすることだとお伝えしました。しかし「わたしたち全員が加担者だ!」と声高に叫んだとしても、意識転換は起きないでしょう。
表面的にではなく、心の底から意識転換が起きるためには、メンバー同士がいかに深い本心から対話を行えるかにかかっています。
図2を見てください。この『地層モデル』は、場の本音レベルとその次のレベルへ行くためのポイントを地層のメタファーで表現したものです。
リレーションシップ・クライシスを解決するプロジェクトでは、メンバー同士が対話をしながらこの4つの地層を深く潜っていくことによって、評論家・分析家の姿勢から当事者の姿勢への意識転換が生じていきます。それでは、各層の内容と次のレベルへと移行するためのポイントをご説明しましょう。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授