相手への影響を考慮して、当たり障りのない言動を繰り返しているのがこの層です。人や状況によってその言動には違いがありますが、基本的に丁寧な言葉遣いであったり、妙に前向きな言動に終始していたり、言葉を発しなかったり、時にはおどけたりする状態になります。いわゆる「腹を割っていない」状態がこの層だと考えてください。
わたしは、ナイスな言動をしてしまう原因として、人間に深く根付いた2つの性質があるのではないかと考えています。
1つは、人間は欠けている部分に目がいってしまうという点です。これは、常に生存を脅かされるような環境の中で、より早く危険を察知し、回避するために発達してきた資質であると考えられますが、比較的安全な環境を実現した現代においても、自分自身や、他人に対しても欠けているところが目に付き、無意識的に評価・判断をするように働きます。
2つ目は、人間は社会的動物だという点です。肉体的にはほかの動物と比べて劣っていながらも人間が生存できているのは、言葉と道具を使い、集団生活を行うという習性を持っていたからです。その習性から考えると集団から排除されて一人で生きるということは死を意味するがゆえに、人は、周囲からから嫌われることに対して本能的に恐れを感じます。
勝手に目についてしまう自分の欠陥や相手へのさげすみや見下しといった評価・判断が相手にばれてしまうと、相手に嫌われて孤立するという根本的な恐れが人をナイスな言動へと駆り立てるのです。
ポイント:この段階を超えるための鍵は、まず、「何を話してもよい」という安全な場作りをすることにあります。つまり、社会的な動物としての生存を脅かされない状況をつくるということです。
簡単な例を挙げると、実際のプロジェクトでは、発言者を批判しない等の対話のグランドルールを事前につくったり、ポストイットなどを活用し発言の内容と発言の所有者を切り分けたりするといったテクニックを活用します。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授