新年になり、心機一転頑張ろうと考えている人も多いのではないだろうか。そんな方々に、今の時代だからこその新しい思考を提供したい。「未来創造型」という考え方である。
細川社長の人気連載「問われるコーチング力」も併せてチェック!
<事例>
ある電子機器メーカーのD部長は、あるビジネス系雑誌に、部下に「なぜ」と繰り返し質問することで真の問題が見つかると書かれていたので、実践してみることにした。
ある日部下のV君が相談に来た。「どうしてもお客様に商品を買ってもらう最後のひと押しができないのです」と言うのだ。そこで、質問してみた。
D部長 なぜ最後のひと押しができないんだい。
V君 押しつける感じがしていやなんです。
D部長 なぜ押しつける感じがするんだい。
V君 お客様があまりほしくなさそうに見えて。
D部長 なぜほしくなさそうに見えるんだい。
V君 顔色を見ていたら……。
D部長 それは君が先方のニーズをうまくくみ取っていないからだろう。それが問題だよ。
V君 (沈黙)
V君は何も言えなくなり、せっかく相談に行ったものの、今後は相談するのをやめようと思うようになった。D部長のほうは「なぜ」を繰り返し問うたことで、原因が見つかり、V君はしっかり気づいたと思い、満足げである。
何かについて「Why(なぜ)」と質問をすることは決して悪いことではない。実際に「なぜ」と何度も問うことで、真の問題が見えてくることもある。
ただ、一方で時と場合によっては、執拗に「なぜ」を問いすぎることで、部下が委縮し、何も言えない状況になってしまうことがある。特に何かうまくいかなかったことを話し合うときには、マイナスの方向に進んでしまうことがしばしば起きる。
「なぜうまくいかなかったのか?」
「なぜ経費を削減できなかったのか?」
原因を探ることはもちろん大切だが、閉そく感が漂う今の時代は、失敗をどう改善して、前にいくかが求められているのである。
わたしは、4つの「What」を提唱したい。
「何を目指しているの?」
「何が目的なの?」
「何をしたらいいの?」
「何が足りないと思う?」
このように「What」を問うことで、やるべきことが明確になり、それに向かって進んでいけるようになる。
できなかったことに対して「Why」を問う人を「過去延長型」リーダーだとすると、やるべきこと、できること、目的という「What」を問う人を「未来創造型」リーダーと定義したい。
今の時代に求められるのは、「未来創造型」のリーダーである。
話が少しそれるが、ある雑誌の秋元康氏について書かれた記事を読む機会があった。彼は世の中の一世を風靡するようなことをしかけてきた人で、今年はAKB48が注目され、大きな旋風を巻き起こしたことは記憶に新しいだろう。
彼は過去のことは一切関係ないし、また今はやっていることも興味がない。興味があることはこれから何ができるかということ。マーケティングなどはいっさいしない。マーケティングについて、「過去のデータでしかない」と書かれていた。
変化の激しい時代に求められるのは、このような前に向いて自分が何ができるかを考え、実行する姿勢ではないかと思う。過去を振りかえすぎず、前を向いて「What」を問える人が必要ではないだろうか。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授