Lotusphere 2011 Orlandoの最大かつ唯一のテーマは「ソーシャル」だ。オープニングには、ケミカル最大手のBASFをはじめ、名立たる企業が登場し、ソーシャルを活用してビジネスや働き方を変革している事例を紹介した。
米国時間の1月31日朝、ケーブルテレビが刻々と伝えるエジプト情勢の深刻化に全米が注目する中、18回を数えるIBM Lotusの年次ユーザーカンファレンス、「Lotusphere」が約7000人の顧客やパートナーらを集め、フロリダ州オーランドのウォルトディズニーワールドで開幕した。
2週間前にチュニジアのベンアリ政権が「Facebook革命」によって崩壊に追い込まれた二の舞を恐れたのか、エジプト当局も携帯電話の通信網やFacebookなどのソーシャルメディアを遮断しているという。空気のように当たり前に感じられていた情報も情勢悪化とともに極端に少なくなり、米国でもCNNのような報道メディアが再び頼りとなっている。そのことが逆にソーシャルメディアの浸透と存在感を印象付ける。Lotusphere 2011の最大かつ唯一のテーマは計らずも、この「ソーシャル」だ。
オープニングのジェネラルセッションには、これまでにも多くの映画関係者が招かれたが、この日のケビン・スペイシー氏ほど驚かされ、そして熱狂的な歓声で迎えられた文字通りのサプライズゲストはいなかっただろう。俳優として知られるスペイシー氏だが、Facebookの創設者、マーク・ザッカーバーグ氏の半生を描いた映画「ソーシャル・ネットワーク」では製作総指揮に名を連ねるなど、脚本家・映画監督・プロデューサーとしても活動する。2002年には、若い脚本家や映画監督を発掘し、支援したいと考え、「TriggerStreet.com」を立ち上げている。
「当時はFacebookもTwitterもなかった」とスペイシー氏。今ではTriggerStreet.comは独立系フィルムメーカーの大きなコミュニティーに育っているという。
もちろん、IBMの顧客が企業であることは言うまでもない。IBMでLotusをはじめとするコラボレーション製品とソリューションを統括するアリステア・レニーGMは、「顧客が競合他社を出し抜き、彼らのビジネスが成功するためにわれわれがある」とその存在意義を話す。
「コンピューティングは、かつてのメインフレームからミニコン、そしてPCやインターネットへと変遷してきたが、次の波はソーシャルだ。このシフトの中にこそ大きな機会がある」とレニー氏。
実際のところ、多くの企業でマーケティングや、カスタマーサービス、セールス、製品開発、そして人事と、さまざまな分野でソーシャルソフトウェアの活用が始まっている。IBMが毎年行っている「CEO Study」でもソーシャルソフトウェアを導入した企業の57%が他社よりも優れた業績を収めていることが分かっている。IDCの予測によれば、今年6億3000万ドルとみられている世界のソーシャルプラットフォーム市場規模は、2014年には約3倍の18億6300万ドルに成長する見込みだ。
ジェネラルセッションのステージには、世界最大の総合化学メーカーであるドイツのBASFや欧州有数の金融グループであるベルギーのKBCらがゲストとして招かれ、ソーシャルソフトウェアによってビジネスや働き方を変革している事例を紹介している。
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