転職は大きな決断で迷いもあるし、不安もあります。当然、候補者もさまざまなことを考えて知人に相談もします。また正式なオファーレターを見るまではクライアント側の状況がひっくり返る可能性もあります。そういった複雑な状況下で候補者がこのような行動をとるのはある程度想定しておかなければいけないのです。
賛否両論あるとは思いますが、(余程悪質なケースを除いては)わたしは入社前に多少のゴタゴタがあったとしても、大切なのは入社後に一緒に仕事をするクライアントと候補者が気持ちよく働くことができて、いい結果を出すことだと思っています。
寝耳に水のサプライズがクライアントの怒りを買うことは避けられませんが、間にいるヘッドハンターはその矛先を自分に向けることはできます。
わたしはA社の担当者に「Bさんに他からお誘いがあることは聞いてはいましたが、こんなに急にオファーが出るとは思いもしませんでした。御社のオファーを急いでいただくことはできませんか?」と伝えました。担当者は「え?なんだって?!今までそんな話は全然なかったじゃないか! お前はなぜそんな大切なことを言わなかったんだ?!それでもプロか?!」と激怒。実際、Bさんに他の案件があることを聞き出せなかったのは自分ですから、ここはもうひたすら自分の否を謝罪するしかありません。それでもまだBさんがA社に転職する可能性がある限り、A社がBさんに対して悪い感情を持つよりはましです。
結局、この時はA社も頑張って急いでオファーを提示してくれましたが、努力空しく、Bさんはより条件のいい他社のオファーを選択しました。
こうした踏んだり蹴ったりの結果には気持ちが萎えるし落ち込みます。でも、クライアントからの信頼を回復するためには、Bさんよりもクライアントのニーズにマッチした新たな候補者を探し出すしかありません。
別の見方をすれば、まだ試合は終わっていません。
仕事をしていればこういった場面は誰にでもあるけれど、腐らないで、諦めないで人事を尽くせば延長後半にドラマが待っている・・・・・・、かもしれません。
岩本香織(いわもと かおり)
G&S Global Advisors Inc. 副社長
USの大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)入社。東京事務所初の女性マネージャー。米国ならびにフィリピンでの駐在を含む8年間に、大手日系・外資系企業のビジネス/ITコンサルティングプロジェクトを担当。 1994年コーン・フェリー(KFI)入社、1998年外資系ソフトウェアベンダーを経て、1999年KFI復帰、テクノロジーチーム日本代表。2002年〜2006年テクノロジーチームAsia/Pacific代表兼務。2010年8月KFI退職。2010年9月より現職。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授