ビジネスイノベーションの次世代モデルは技術王道と事業覇道のせめぎ合い――東大の妹尾氏NTTDATA Innovation Conference 2011レポート(4/4 ページ)

» 2011年02月15日 12時35分 公開
[宍戸周夫,ITmedia]
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 ここで参考となるのは、ネットワークと結びつけ価値形成をもう1度再構成するという方法だ。妹尾氏も、これが製品モデルのひとつの典型だという。さらにはすでに見たように、Intelのようにポイントを抑え全体を支配しに行くか、あるいはAppleのように全体を抑えながら要所を固めていくのか。いずれにしても、従来のような技術力だけに頼っている時代ではなくなった。技術を核とした競争力モデルの時代はとっくに終わっている。

 最後に妹尾氏は、「三国志」の中の王道と覇道という言葉を使い、講演を次のような言葉で締めくくった。

 「これまでの日本企業は、技術を基盤にした技術王道でやってきました。技術開発を行い、その技術の用途開発をするという流れです。しかし現在は、事業覇道でほとんどのイノベーションが動いていることを直視する必要があります。今の世界のイノベーションは、ほとんどの日本企業が信じていた技術王道の逆を行っているのです。逆に動いています。GoogleやFacebookを見ても分かるように、次の時代にこのような価値形成をしたい、だからどのようにリソーシングするのか、という反対の流れになっているのです」

 このような時代に日本企業に求められるのは、王道でも覇道でもない。その一方ではなく、両方必要だというである。技術と、その技術を生かす知恵だ。つまり「三国志」でも分かるように、武将と軍師の両方が必要ということである。

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