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» 2011年03月04日 07時00分 公開

ヘッドハンターの視点:米国人のCOOが「日本人は分からない」と言った理由 (2/2)

[岩本香織(G&Sグローバル・アドバイザーズ),ITmedia]
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 ところが、Fさんとの2回目のミーティングの後にDさんからとても暗い声で「ちょっと聞きたいことがあるから来てほしい」と、電話がありました。嫌な予感が的中したかな?と思いながら、Dさんに会いに行くと、Dさんは開口一番「日本人は分からない」

 わたし:「何があったんですか?」

 Dさん:「日本人は自分の家族を幸せにしたくないのか?」

 わたし:「いや、日本人も自分の家族は幸せにしたいと思いますよ。」

 Dさん:「今の給料聞いたら高くなかったので『2倍出すからうちに来てくれ!』と言ったのに断られちゃったんだ。」

 わたし:「あ、いきなりそんな話ししちゃったんですか……物事にはタイミングと順序が……」(わたしの言葉はDさんの耳に入っていない様子)

 Dさん:「日本人は高い給料をもらって、家族にいい生活をさせたいと思わないの???」

 わたし:「えーっと……競合への転職ということでまず抵抗があるのに、いきなり給料2倍と言われたらびっくりするし、『何か裏があるかも』と勘繰るかもしれません。ちょっと業績が悪かったら即クビ!かもしれない一時的な“いい生活”より、長期的な“安定した生活”の方が家族にとっていいと考えたのかもしれませんよ。」

 Dさん:「う〜ん、やっぱり日本人は分からない。」

 欧米では就「職」という考え方で、自分が選んだ職種(営業、財務、経営など)のプロになるために仕事を捉える人が多く、自分の知識や経験をより高額で買ってもらうことを望むのは普通のことです。日本では就「社」と考える人も多く、競合他社だけでなく転職そのものに対する考え方が欧米とは違うようです。それこそ、どちらもいい面も悪い面もあると思いますが、日本の大企業であっても終身雇用神話が崩壊していることは事実として受け止めた上で今後のキャリアを考えてみませんか。

 注意事項:

 DさんとFさんの話にはいくつか隠れたポイントもあります。Fさんは競合で活躍していたので、C社では即戦力になることが分かっていたためDさんはいきなり破格のオファーをしました。一般的にいきなり“2倍”はありません。ただし、“2倍”に関してもDさんがFさんから聞いた“高くなかった”のは給与です。日本企業には給与の他に充実した福利厚生等があります。外資系では退職金がない場合もあります。それらを含めて比較すると思ったほどは条件が良くならないことも多々あるのでご注意を。

著者プロフィール

岩本香織(いわもと かおり)

G&S Global Advisors Inc.

USの大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)入社。東京事務所初の女性マネージャー。米国ならびにフィリピンでの駐在を含む8年間に、大手日系・外資系企業のビジネス/ITコンサルティングプロジェクトを担当。 1994年コーン・フェリー(KFI)入社、1998年外資系ソフトウェアベンダーを経て、1999年KFI復帰、テクノロジーチーム日本代表。2002年〜2006年テクノロジーチームAsia/Pacific代表兼務。2010年8月KFI退職。2010年9月より現職。


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