50代社員の実像〜その250代ミドルを輝かせるキャリア開発支援(2/3 ページ)

» 2011年03月18日 12時40分 公開
[片山 繁載(日本マンパワー),ITmedia]

転機の後の働き方=キャリアショックの後さまざまな問題のタイプが出現

 役職定年のショックを経て、自律的な「仕事人間」への道が大切だと分かっていても現実の職場ではなかなか意識・行動の切り替えが進まず、問題社員となるケースも多い。図表‐2を見てほしい。「働く意欲」と「自己活用度」を高低軸で区分すると、4つのタイプに分けられる。その働き方は可能な限り自律した仕事人間として「生き生き現役」タイプであってほしい。が、現実にはその後の働き方として「ほどほど現役」、「現役固執化」、「定年前OB化」など問題のタイプも指摘されるところである。

 ・「ほどほど現役」タイプは、新しい環境や働き方に早くなじむが、強い情熱などはなく期待に応じた程度の働きをすればよい、という“割り切った働き方”をする人で、このタイプが最も多い。

 ・「現役固執化」タイプは、役職定年などの時期が訪れ、新しい働き方や後輩に道を譲る時期が来ても、ひたすら自分の流儀を貫くなど、過去の仕事スタイルを守ろうとする人である。一見、仕事熱心に見えるが、新しい環境への順応性、特に人間関係の構築に無頓着であり、“はた迷惑な働き方”をする点で組織管理者を悩ますタイプだ。

 ・「定年前OB化」タイプは、現実的にはまだ役職や専門職として活躍すべきポジションにあり、役職定年や実質定年にはまだ時間があるにもかかわらず、組織からの期待の減少や自己能力・気力の衰えの自覚から、主体的に行動せず、無難にやっていこうという無責任で“怠けた働き方”に陥る人だ。

図表‐2:働く意欲と自己活用度からみた働き方のタイプ 参考文献:「高齢社員を生かすキャリア開発の考え方と雇用制度整備のポイント」(田中丈夫氏論稿)(労政時報別冊2005年)を筆者が編集

 現実には自己の活用や意欲・モチベーションに自己抑制や諦めがともなったり、待遇や付与される権限などの制約も多いことから、さまざまなタイプになることも仕方ないかもしれない。しかしながら、本来発揮してほしい働き方からいえば“もったいない働き方”であり、可能な限り是正したい。

 50代社員が役職定年など、キャリアチェンジを迎えたとき、一人で来し方・行く末を「内省」し「キャリアビジョン」を描くには限度がある。そのため、多くの企業で「自己調整」と「その後の働き方」をテーマとしたキャリアデザイン研修や個別のキャリアカウンセリングが行われている。

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