ポスト・オフになったとはいえ、60歳まで5、6年、その後の再雇用を入れれば自社で働く期間はまだ優に10年はある。企業の本音から言えばポストの若返りの見返りとして、元課長や部長が“余生”感覚や“消化試合”を楽しむ働き方に堕するのは許しがたいだろう。
このような50代の「たるみ」や役職定年などのキャリアショック、あるいは再雇用における意識の切り替えなどのため、多くの企業でキャリアデザイン研修が行われている。当社で受託している50代社員のキャリアデザイン研修の基本目的は、セカンドキャリア期における“生き生き現役”人材の育成である。
具体的な目的は企業の期待メッセージ=自律・貢献・専門性向上を軸とし、次の5つが浮かび上がる。
(1)企業環境の理解と自律意識の醸成=企業と個人の関係理解と自律的に生きる心構え
(2)自己の強みの自覚=培った経験と実績、能力・スキルの現実的有効性や社内価値・市場価値理解
(3)企業への貢献テーマと目標探し=何を今後の仕事テーマとするか、どんな貢献を果たすか
(4)自己の人材イメージ作り=どんな人材として活躍するか、どんなビジネス・プロフェッショナルとなるか
(5)今後のキャリアビジョン=職位変化を織込みながら、会社生活・個人生活の充実をどう考えるか
これは単に職務の必要能力を習得させる研修ではなく、企業貢献し続けるために自己のキャリアをどのように生かせばよいか、どんなビジネス人生を過ごすかを真剣に考えさせる研修だ。企業としては、環境変化をキチンと受け止め、まだまだ頑張って欲しいというメッセージを投げかけ、社員一人ひとりには、どのように頑張るのか、を問う形になっている。まさに50代の“キャリアの節目”で次の活路を開く研修と言ってよい。
50代社員はすべて社内活用というわけにもいかないだろう。出向・転籍などの社外転進を図る場合や、ローパフォーマーの職群転換などにも、この研修の枠組みは活用しうる。その全体の枠組みは次の図表1のとおり会社・上司・本人が一体となって取り組むべきものである。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授