マスコミ報道から知らされる東日本大震災復興、福島原発事故対策に対する政府・与野党・東電の考え方や行動には、誠に残念ながら「戦略」のカケラも見られない。
マスコミ報道から知らされる東日本大震災復興、福島原発事故対策に対する政府・与野党・東電の考え方や行動には、誠に残念ながら「戦略」のカケラも見られない。
彼らの考え方や打つ手は思いつきの感が強く、後手後手に回り、果たして全体像を把握し、先を読んでいるのかと疑いたくなる。事実、その疑問が随所に形になって現れている。例えば、関係部門間の連携・意思統一が不十分で、それが日を追う毎に暴露される。広報部門の発表に整合性が見られない。対策のための組織が乱立し、互いの連携が取れているように見えない。原発事故収束へ向けた工程表も(見直し分も含め)、東電や政府が希望する作業を単に並べたメニューに過ぎない……など。
現に、読売新聞が5/13、14に実施した電話全国世論調査によると、被災地救援・復興支援をめぐる政府の対応を「評価しない」と答えた人は59%(前回4月調査で44%)、原発事故を巡る対応では「評価しない」が73%(前回61%)にも達している(読売新聞5/16)。
政党も、与野党ともに復興・事故対策そのものよりも、党利党略優先の足の引っ張り合い、しかも最も気を配るのは目先の世論に対してだ。実に情けない。
彼ら関係者は事態の本質を理解しているのか、彼らには戦略が見えない。解決へのストーリーがない。企業経営に例えるなら、震災復興・原発事故対策といういわば事業戦略だ。
マスコミにも、戦略が見られない。いつまでも過去に起きた事実のお涙頂戴的報道に終始し、例えば震災復興・原発対策の問題点は何か、先々の復興対策の青写真をどう描くか、今後のエネルギー対策へどう取り組むかなど、国民に対する問題提起、啓蒙、解決策提案など、訴えるべきことが山ほどあるのに、マスコミとしての使命のストーリーが全くない。
震災について語るとすれば、本件はマスコミ報道でしか知りえないことなので正鵠(せいこく)を欠くおそれがあり、従って企業経営を例に挙げて戦略の議論をしたい。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授