3月11日に発生した東日本大震災を受けて、コミュニケーションツールのあり方が問い直されている。日本マイクロソフトでは、日頃から取り組んできたワークスタイル変革が、震災直後の従業員安否確認から、オフィスの電力消費を抑えるための在宅勤務まで、さまざまな面で役に立ったという。
コミュニケーション環境と社内制度を整備し、従業員がオフィスに束縛されず、社内にいるのと同じように仕事できるようにしておくことで、普段は効率的な業務遂行に役立ち、広域災害などの非常時には的確な情報収集と行動が可能になる。さらにはオフィスに節電が求められるような状況下でも、在宅勤務などで大幅な節電を実現できる。
2011年5月18日に開催された第15回ITmediaエグゼクティブフォーラム「新しいワークスタイルが会社を強くする 〜いつでもどこでも社員のパフォーマンスを最大に〜」の中で、「マイクロソフトの従業員ワークスタイル戦略 〜コスト削減、生産性向上、事業継続の実現〜」と題して語られた日本マイクロソフト株式会社の事例は、まさに日常の活動が非日常下の状況でも役立ったケースといえるだろう。
講演を行ったのは、日本マイクロソフト 社長室チーフクオリティオフィサー(CQO)の越川慎司氏。CQOというポストは、製品の品質向上プロジェクトの責任者だ。製品として市場に投入する前の開発段階から積極的に社内で活用、米国本社や関連部門と緊密な連携をとりながら、特に日本市場に適した形での品質の確立を目指しているという。
2010年12月に販売開始となったユニファイドコミュニケーション(UC)製品「Micosoft Lync」も、この品質向上プロジェクトの一環として早くから社内で活用されてきた。越川氏は本セッションで、Lyncをはじめとするツール群が実現した社内コミュニケーション環境と、日本マイクロソフトが取り組んできた在宅勤務などの社内制度改革とオフィス移転により実現した、ワークスタイル革新についての成果を紹介した。
「当社では、2007年から在宅勤務制度を全社導入している。当初は育児や介護などに対し働き方のフレキシビリティーを向上させるのが目的だったが、2008年には対象範囲を拡大、一部の部門では育児や介護・自身の障碍以外の理由でも利用できるようにした。そして2011年2月、品川新本社へ移転すると同時に、フレキシブルシーティング制や、LyncのエンタープライズVoice機能を導入している。もちろん社長の樋口も、この環境をフルに活用して仕事をしている」と越川氏は説明する。
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