思考の枠を広げろ未曾有の危機に直面したリーダーに求められること(1/3 ページ)

「思考の枠」とは何だろうか。それは、思い込みや固定観念、レッテルのことである。緊急時は、これまでの前例にとらわれず、今何ができるかを考えなければならない。

» 2011年06月20日 07時00分 公開
[細川馨(ビジネスコーチ),ITmedia]

細川社長の人気連載「問われるコーチング力」も併せてチェック!



 前回は、「未曽有の危機に直面したリーダーに求められること」として、危機が発生した際にリーダーがどのようにコミュニケーションをすべきかについて説明した。今回は、「思考の枠」ということに焦点を当てて話したい。

「思考の枠」とは

 以前のコラムでお話ししたことがあるが、危機の際には「思考の枠」を広げることがとてもとても大切であり、改めて説明したい。

 「思考の枠」とは何だろうか。それは、思い込みや固定観念、レッテルのことである。例えば次のように考えることである。

 思い込み:これまでにこの方法で成功してきたんだから、これからも大丈夫!!

 固定観念:うちのビジネスは○○企業の命だ!

 レッテル:君は○○な人間だ!

 ・「思考の枠」が固く、厚い人の特徴は次のとおりである。

(1)自分が絶対に正しいと思っている人

(2)自分以外が問題だと思っている人

(3)行動変革をしない人

 ・反対に、「思考の枠」が柔らかく、拡大する人は次のとおりである。

(1)自己否定できる人

(2)人の意見をいったん素直に受け入れる人

(3)フィードバックの大事さを常に考える人

  • 「思考の枠」が厚いと、次のような弊害を生む。

(1)人の成長を妨げる

(2)勝手に解釈して、行動する。

 人間は、本質的に、自分の都合の良いように考え、見たいように見る傾向がある。風評やうわさなどを聞いて、「あの人はこういう人である」「これはこういう意味である」と自分で勝手に考える。

 職場で、○○さんに対して「ルーズだ」、「仕事が遅い」と思ったら、そう見えてしまうし、「まじめな人間だ」と思ったら、そのように見えてしまう。人間は「思考の枠」にはめられたら、すさまじく窮屈に感じる。

 「君はこういう人間だ」「君は酒癖が悪い」「君は仕事が遅い人間だ」上司にこのように思われると、部下はとてもつらい。仕事ができなくなるか、転職するか、精神的に病んでしまう。

 「思考の枠」は人の成長を妨げるのである。

 「思考の枠」を広げることができると、「今の方法が最適なのか」「他の方法はないのか」と考えることができるため、自身や組織の問題点や解決策を模索できるようになり、人や組織の成長の可能性を広げることができるのである。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆