世界の貧困軽減に貢献しノーベル平和賞を受賞したユヌス氏は、グラミン銀行を設立しマイクロクレジットを始めた。利益を追求するビジネス以外に、社会に貢献し、社会的問題の課題解決のための取り組む事業としての「ソーシャルビジネス」に注目が集まっている。
この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。
この要約書から学べること
グラミン銀行を設立しマイクロクレジットを始めたムハマド・ユヌス氏は、世界の貧困軽減に貢献したとしてノーベル平和賞を受賞しました。バングラデシュ政府によりユヌス氏は最終的にグラミン銀行を追い出されてしまいましたが(政治的理由だと思われます)、ユヌス氏の思想はいまだに大きな力を持っています。ユヌス氏は、人間らしさを持つ経済を、前向きな可能性の集まりとして支持しています。
カール・ウェーバー氏とともに仕上げた本書は「ソーシャル・ビジネス」の青写真を明確に示しています。また、グラミン銀行が展開するさまざまな事業がどのようにして日々の市場の問題に取り組んでいるのか、説得力のある事例が細かく説明されています。社会的意義のある仕事に市民権を与えたいと望む経営者や、世界の貧困を減らしたいと願うが、それをかなえるために手引きを必要とする小規模事業の事業主や社会政策支持者に本書をお薦めします。
「ソーシャル・ビジネス」よく聞く言葉ですが、その概念はどこにあるのでしょうか? ITが情報発信ツールから、コミュニケーションツールの役割をになうようになってから、「ソーシャルメディア」「ソーシャルネットワーク」と、「ソーシャル」をキーワードにした造語がたくさん派生し、あたかも「人とのつながり」を示す代名詞のようになっているような気がします。「ソーシャルビジネス」の辞書的な意味を考察すれば「社会的事業」となるわけで、「社会的問題の課題解決をおこなうための取り組みを事業として展開するビジネス」という意味をなしています。
現代でいうなら、環境、高齢化、教育、障害者など、本来であれば、行政が先陣を切って解決しなければならないことです。確かに、それに対しての取り組みは国が管理し対応をしてきたことも確かでしょう。しかし、現状、公的機関のみにそうしたサービスを任せていては限界があることも事実です。それをうまくサポートしていくことが、民間におけるソーシャルビジネスとしての役割だと思います。
とはいいながらも、民間ビジネスは本来であれば利益の追従が最優先に求められることであり、それによって経済を活性化させるという大きな社会貢献を行います。しかし、ここでいう「ソーシャルビジネス」とは、社会に貢献するための資金を集めてそれをいかに効率的、効果的に使っていくかが求められるわけです。そうしたビジネスが脚光を浴びつつあるとしても、その本当の実態はまだよく分からない人が多いのが現状なのではないでしょうか?
本著では、そうした「ソーシャルビジネス」の実態そして光と影について事細かに分析をしています。これからの事業を検討している方には是非一読をおすすめする一冊です。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授