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» 2012年02月03日 08時00分 公開

海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点:社内政治に負けない方法 (2/3)

[エグゼクティブブックサマリー]
エグゼクティブブックサマリー

沈みかけの船には気を付ける

 時にはプロジェクトは失敗します。船が沈没しかければ、ネズミはその船から脱出します。これが、組織の現実です。卑劣な手段を使うネズミは、被害者に失敗することが分かっているプロジェクトを押しつけます。上司はこれを「成長するためのチャンス」だと言い張りますが、実際は、被害者達は「身代り」にさせられているのです。

 もしこのようなどうしようもない状況に陥ってしまったら、逆転のチャンスを狙うつもりで取り組んでください。ただし、この時、「普通のプロジェクトの失敗」と「意図的な失敗」の違いに気を付ける必要があります。また、仲間と敵の区別を付ける方法も学んでください。自分を守るには、受け入れても構わないと思う最低限の結果を決めておきましょう。味方になってくれる人を特定し、彼らに何を頼ることができるのか確認してください。

 実際に卑劣な手段を使うネズミの手口についての一つがここにあります。特に大企業では、頻繁に起こりうる策略として典型的な例です。この仕組まれた沈没船に決然として乗船しなくてはならない場合に、必ず注意する点は、失敗の質を見極めることにあります。そしてあらかじめ結果として自身が受けるダメージも見越しておく必要があることが分かります。

傍観者と泥棒と事なかれ主義者

 肝心なことを言わないことでウソをつくように、人は何もしないことで誰かを傷つけることがあります。職場では、誰かが苦しんでいる、あるいは失敗している様子を黙って見ていることがそれに当たります。これは、加害者がその人を助ける力や手段を持っているにも関わらず、その人が倒れた方が自分にとって好都合だと思っている時、特に陰険です。

 次のような状況を思い浮かべてください。仕事に熱心なある従業員が、ある日食堂でばったり上司に会いました。そこで、彼女はコスト削減とプロジェクトの改善ができるアイディアを上司に話しました。それに対し上司は優しく頬笑み、そのアイディアが上手く行かない理由を並べました。

 そのアイディアは過去に試した事があり、試す価値があるほどコストは節減できないと話しました。しかし、その後その上司は態度を変え、その従業員のアイディアをまるで自分のもののように自分の上司に提案したのです。どう考えてもこれは泥棒行為であり、被害者は無力感を味わってしまいます。

 もし誰かがこのような手を使ってあなたのアイディアや提案を誘導しようとしても、穏やかに拒絶してください。そして、自分のアイディアは自分で伝えると主張してください。時によって、権力のある人は意思決定を下したがらないことがあります。また、部下の提案を採用するつもりはなくても、「NO」というのは不快なので言いたくないと思っている時があります。

 このような時、彼らはさらなる情報の提出やさらなる調査をするよう求めて来ます。これは大変な仕事であり、時間とお金とエネルギーの無駄です。上司に「もっと詳しく話しなさい」と言われたら、次のような質問を返してください。「納得して頂けるにはどうすればいいですか?」や「どの時間と労力をかければいいですか?」など、このような質問で逆に上司の意図する考えを引き出してください。もし上司からこの質問にはっきりとした答えが得られなければ、新たな別の手を考える機会になるかもしれません。

 ただし、この時、「普通のプロジェクトの失敗」と「意図的な失敗」の違いに気を付ける必要があります。また、仲間と敵の区別を付ける方法も学んでください。自分を守るには、受け入れても構わないと思う最低限の結果を決めておきましょう。味方になってくれる人を特定し、彼らに何を頼ることができるのか確認してください。

 「どの時間と労力をかければいいですか?」もしこの質問にはっきりとした答えが得られなければ、別の手を考える時かもしれません。

 事態を受け入れながら形勢を精査する上でこのような的確な質問は非常に有効だと思います。また、その質問から得た回答を情報源にして自己を防衛する新たな良策が生まれるかも知れません。大切なことは、上司に不快感を与えず、自己を守りながら、情報を収得していくことにあるでしょう。

ダブルスピークと遠まわしな表現

 相手の唇が動いていることは分かっていて、そこから発せられている言葉も聞こえてくるのに、その人が何を言っているのか理解できない。そんな経験はありませんか? もしあるのなら、「悪意のあるぼかし表現」の被害にあったことになります。

 この種の卑劣な手段は、本当の意味を話さないことで責任を逃れようとするために行われます。そういった人達は本当のことを話す代わりに、ほのめかし、直接的な表現を使わず、言葉を濁し、ぼそぼそと話します。そして、それによって相手がどうにかしてメッセージを受け取ることを期待しています。

 この種の嫌がらせに立ち向かう最善の方法は、具体的な質問をすることです。もし同僚や上司に、明日見返りを与えるから今日犠牲になってくれといった趣旨のお願いをされた時は、気を付けてください。見返りが何であるかはっきり教えてくれない場合、おそらくその見返りを得ることはできないでしょう。

 これの本当の目的は、あなたに普段なら拒絶する仕事を引き受けさせることです。引き受けた時の見返り、あるいは断ったらどうなるかを具体的に聞き、このセオリーを試してください。例えば、「私はきみを全面的に応援している。でも、きみのプロジェクトに上はOKを出さないと思う」と言われたとします。この場合、おそらく上司は本当にあなたを応援しており、上層部に承認してもらうことは本当に難しいのでしょう。

 しかし、これは、上司は応援していることをほのめかしているだけで、実際は応援するつもりがない場合も考えられます。もし上司が応援してくれない場合、また違った問題が出て来てしまいます。ですので「お気遣いありがとうございます。ですが、上層部と話をすることにはあまり不安は感じていません。それより、部長が本当に懸念していることは何なのでしょう? このプロジェクトが部長にとってどれだけ役に立つか、話し合いませんか?」と申し出てください。

 上司の真意とは一体どのようなものなのでしょうか。

 このようなダブルスピークといわれる状況を経験することは、決して少なくないと思います。上司は本当に見返りを考えてくれているのか? または、見返りをえさに仕事を押し付けているのか? はたまた、純粋に味方という立場で、仕事を依頼しているのか? この場合も、状況に応じた質問や申し出が大きなポイントとなることは間違えありません。根底として忘れてはならないのは、常に、自己防衛が大前提ということです。

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