信頼と信用はどう違うのか?――ソフトバンクグループで数々の事業の立ち上げに携わった大木豊成さんがアラフォー読者にこれからの生き方を指南する本シリーズ、今回からは上司の心得を伝授する。
37歳は35+2歳なのか、40−3歳なのか?――連載「知って、できて、当たり前!? 37歳の常識」は、40代以降を充実して生きるための100個のルールをまとめた書籍「あたりまえだけどなかなかできない 37歳からのルール」の一部を加筆・修正し、許可を得て掲載しています。
「信頼はしているが、信用していない」。これは、以前の上司が僕に言った言葉だ。
あなたには、理解できるだろうか。ここで言う「信頼する」は、悪いことはしないだろう、ということを指している。信頼関係という言葉があるように、悪いことをしたり、故意に何かを犯すことはないだろう、ということだ。
あなたの会社に勤めるあなたの部下は、ほとんどの場合、悪いことはしないはずだ。世の中には、まれに悪いことをする人がいるが、極めて珍しいケースだと思う。だから、まず部下のことは信頼していいと思う。信頼することで、一生懸命やってくれることだろう。
一方で、だからと言ってミスを犯さないということはない。人間がやることなのだから、絶対ミスが起きない、などということはあり得ない。そういう意味では、信用しきってはいけないのだ。
「君に任せたのに」。そんなことを言われても困る、というのが部下の心情だ。あなたは部下がミスを起こしたときにどう対処するのかを考えておく必要がある。信用しきってしまうと、ミスや問題が起きたときの対処が遅れる可能性が高い。何か起きてから対応しているようでは遅すぎるし、さらに信用しきっていたがために部下に対する不信感まで生まれてしまうことになる。
ミスや問題というものは、部下1人の責任だけで起きることばかりではない。むしろ、複数の人間が関わっているにもかかわらず、発生してしまうことの方が多いのだ。仕事というものは、1人だけでやるものではない。複数の人間が関わり、二度三度の確認が行われるのが通常だ。しかし問題が起きるときは、その確認を経ているのに発生してしまう。そういうものなのだ。
そういう問題が起きたときに、部下をこっぴどく叱りつけても何も産まれない。むしろ、事前にどんな問題が起きても対応できる準備をしておくことだ。そういう心構えをしていないと、つい部下を叱りつけたくなってしまうのだ。
大木豊成著
明日香出版社
1470円(税込み)
40歳を目前にした世代が、悩んだり困ったりしていることに対して、人生経験豊富な著者がアドバイスする。ソフトバンクグループで培った仕事術の他、家族、キャリアなどについて、100項目で指南する。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授