プロセス統合やルールエンジンがショッピング、医療を変えるIBM Impact 2012 Report(1/2 ページ)

ラスベガスの「IBM Impact 2012」は2日目を迎え、MasterCardやThe Ottawa Hospitalなど、プロセス統合やルールエンジンによってビジネスを変革し、一歩先を行く企業がその取り組みを紹介した。

» 2012年05月02日 10時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
MasterCardのガーバーCIO

 現地時間5月2日、ネバダ州ラスベガスの「IBM Impact 2012」は2日目を迎え、午前のゼネラルセッションではビジネスプロセスの統合と変革に焦点が当てられた。

 「MasterCardに関して大いなる誤解がある」── 「Priceless」のキャッチフレーズで知られるクレジットカードの国際ブランド、MasterCardのヨハン・ガーバーCIOはImpactのステージでそう切り出した。

 「われわれは直接クレジットカードを発行せず、カード発行会社にライセンスしている。世界17億人の利用者と世界210カ国150通貨3200万店舗をグローバルなネットワークでつなげている」とガーバー氏は同社のビジネスを説明する。1分当たり4万3000のトランザクションを平均130ミリ秒で処理する高速ネットワークは、同時に高い信頼性も求められ、「ダウンは許されない。バックアップのバックアップまで用意している」という。

 スピードと堅牢さが求めれる中、MasterCardはさらなるイノベーションに挑むため、信頼できるテクノロジーパートナーとしてIBMを選んだ。

 クレジットカードでは、与信審査やポイント付与など、さまざまな「業務ルール」に基づいて処理が行われるが、これらがプログラムに埋め込まれてしまうと変更が生じた場合、迅速な対応が難しくなる。IBMのILOG JRulesでは、これらのルールをプログラムから抜き出して集約し、独立したシステムとして管理する。MasterCardでは、ILOGを導入することによってそれまで2週間かかっていたルール変更の反映を数時間で行えるようになったという。

 「新サービスの迅速な投入によって市場でのリーダーシップを取ることができ、さらに魅力的なサービスを生み出そうというイノベーションの文化も醸成できた」とガーバー氏。

 MasterCardでは、これからの購買行動は消費者同士のやり取りにこれまで以上に左右されるようになるとみており、オンラインでありながら友だち同士が一緒にショッピングできるような将来像も描いている。電子マネーやロケーションベースのマーケティングなど、可能性は無限だ。

IBMのミルズ上級副社長

 IBMは1969年、メインフレームで稼働するCICS(Customer Information Control System)を開発した。それ以来、信頼性と可用性が求められる基幹業務のトランザクション処理はその多くをIBMが支えてきたといってもいい。

 ソフトウェアとシステムの両部門を統括するスティーブ・ミルズ上級副社長は、「一枚岩の垂直型からSOAによる水平型の複数システムに変わっても、スピードと堅牢さも併せ持つトランザクション処理の重要性は変わらず、さらにスケーラビリティーが求められている。われわれはそのトランザクション基盤の上に、さまざまなシステムとデバイスを互いに接続し、プロセスを自動化したり、ワークフローを組み込むことによって、企業がビジネスプロセスも統合できるように投資を継続していく」と話す。

 トランザクション処理が売り上げなどの取引を記録するのに対して、プロセス統合は複数システムにまたがる、さまざまな人の「作業」を記録して見える化し、互いにコラボレーションして効率を高めたり、あるいは業務ルールによって自動化するのが狙いだ。IBMでは、ここ数年買収などによって強化されてきた約20の製品群をビジネスプロセスの可視化と改善を図るための「Business Process Manager」と、業務ルールによる自動化や、アナリティクス、コラボレーションによって意思決定を支援する「Operational Decision Management」に大別し、まとめ直している。

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