「あめとむち」は、部下の報奨を表す比喩表現です。英語ではこれを「ニンジンと棒」と表現します。
やる気を与える「ニンジン」(愛のむちである棒の反対)は、すぐれたチームには欠かすことのできないものです。「オレンジ」という言葉は、「大躍進するチーム」を包括的に表す言葉であり、大躍進するチームのメンバーは次の基本的な条件を満たしています。
大躍進するメンバーの基本的な条件とは?
・自分の能力を示す
優れたチームは、能力の高いメンバーを必要とします。
・リーダーの能力によって能力を高める
最高のリーダーとチームは、「4つの基本」を強化しようとします。それは「目標設定」、「コミュニケーション」、「信頼」そして「責任」です。また、チームメンバーが良い仕事をした場合には、快くそれを評価します。調査によると、チームリーダーが「4つの基本」を重要視し、チームメンバーが成し遂げたことを公に評価する場合、そのチームは秀でた力を発揮することが分かりました。
大義を明確に描く
チームメンバーは全員、常にチームの主な目標、あるいは意欲を高める「共通の大義」に力を注がなければなりません。
「3つの法則」に従う
<法則1>
・メンバーは、記憶に残る世界に通用するパフォーマンスを標準とし、「大きな感動」を生み出す。
<法則2>
・メンバーは互いに現行および今後の活動について情報を提供し合い、「予期せぬ驚き」がないようにする。
<法則3>
・メンバーは、互いの成功を互いにたたえ合い、励まし合う。
大躍進するチーム構築には、やはり雇用段階からの綿密な算術を必要とするようです。また、その他の評価体制は、必然たるものと認識することにあります。そして法則から分るように、実務から不安を取り除くことが、モチベーション向上の有用性をもたらすものだと思います。
優れたチームの先頭に立つリーダーは、すべてのことを自分の手で行う必要はありません。実際、優れたチームのメンバーはほとんどの場合、自分で自分を指揮することができるからです。しかし、リーダーには指揮以外にも重要な役割があります。それは、優秀な人材を雇い、戦略を説明し、必要なルールと基準を提供し、正しく評価する文化を守ることです。他の手本となるチームを作ったら、リーダーはそのチームを維持するためにできることは何でもやらなければなりません。
残念なことに、企業の中には優れたチームを定期的に解散させ、そのメンバーを他のチームに再編することを「習慣」にしている所があります。しかし、これは非生産的なことです。
ガントチャートなどを使い徹底した情報開示で、スムーズな業務体制の統制を図ることが良いということです。また、優れたチームを安易に壊すという慣わしは、言語道断な行為であると言うことが分りました。
2004年、全米プロバスケットボール協会(NBA)のチームマーケティング部の上級副社長に、スコット・オニールが就任しました。オニールには、大変な仕事が待ち構えていました。NBAのチケットの売り上げは低迷し、新しいスーパースターもおらず、一般に販売しているグッズの売れ行きも良くありませんでした。また、リーグチームはコートの上で競うだけでなく、営業活動でも競っていました。これによって協会全体が弱体化していました。
問題を是正するために、オニールはリーグ全体に「3つの法則」を取り入れ実行しました。大きな感動をもたらすために、NBAのマーケティング担当者全員は、尊敬と驚きを覚えるようなパフォーマンス基準を目標にして取り組みました。驚きを無くすため、それぞれのチームの経営者は互いにオープンにコミュニケーションを取り、マーケティングプログラムやアイディアを共有するようにしました。互いに応援するために、NBAのスタッフは互いの努力と成功を支持するようにしました。
その結果、NBAの売上は4季連続で急上昇し、一億人以上のファンが試合を観戦しました。さらに、チームのスポンサーからの収入も急増しました。自分の組織に「3つの法則」を取り入れるには、次の手順に従って下さい。
スコット・オニールの生きた経験が、大きな利益を生み出すこととなった事例です。まず、感動するパフォーマンス、そして情報の共有化、最後に相互間での成功への働きかけだと言うことです。この点について次項からより具体的に迫っていきます。
優れたチームには必ず有能なメンバーがいます。しかし、メンバー全員が並はずれて優秀である必要はありません。実は、優れたチームのメンバーは多くの場合、スターのように活躍してきたのではなく、キャリアを通してずっと控え選手のような役割を担ってきています。
調査によると、重要なのは誰がチームを構成しているかということではなく、メンバー個人が優れたチームの役に立つためにどのようなことをするか、ということであることが分かりました。優れたチームは次の6つの重要な活動を行っています。
優れたチームの6つの重要事項とは?
1、夢を持つ
優れたチームは、ある程度限定的な目標を持つだけではありません。限度の無い、考え方を根本から変えるような本物のビジョンである夢を共有します。
2、信じる
どのような問題にぶち当たろうとも、優れたチームは自分達には目標を達成できると完全に信じています。
3、リスクを冒す
優れたチームは有り金を全てはたいて、ひとり勝ちする方に賭けることをいといません。
4、測定する
優れたチームは大胆なギャンブラーであると同時に、自分達の今いる場所と行きたい場所を示す測定基準を活用する、抜け目のない商売人でもあります。
5、耐える
優れたチームは決して諦めません。
6、ストーリーを伝える
優れたチームはストーリーを使って、仕事に命、ドラマ、そして活力を吹き込みます。
感動をもたらすことに特に必要なことを6項目挙げています。裏を返せば、並外れたスターはもはや要らないということなのかもしれません。ここで着目することは、この6つの一つひとつの融合が、チームを一心同体にするファクターとなるということです。
Copyright© 2014 エグゼクティブブックサマリー All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授