一つの終焉を迎え、まったく新しい可能性が開ける。自分流で働いて、世の中の役に立つという幸せが待っている。
人生を決めるのは20代と70代です。20代で、第1回目の人生の基本形が決まります。そのあと70歳までは、その惰性で流されてしまいます。じたばたしても、その枠から飛び出すことは、難しいです。
20代で何をしたか、なにを決めたかで、人生が決まるのは、まったく人生に無経験な時に決めたことが一生ついて回るということです。やりきれない気もします。ただ、人生とは、そのようなものなので運不運は世の常として、そのなかで努力すればよいのです。運がわるくても、それなりに、また人生を楽しむことも十分できます。運が良ければ、おもしろい目に遭いますが、それはまたそれで空しかったりします。人生の味は途中にあるので、結果にあるわけではありません。
流された人生が、一つの終焉を迎え、まったく新しい可能性が開ける、それが70代です。人間はいろいろな理由で、他の生物とは違い、種の保存活動を終えた後でも生きています。鮭が産卵してまた川を下り、海で泳ぐような話で、超自然の現象です。この超自然の存在を、社会にとって、そして自分にとって、良いものにする。それがこのコラムの目的です。
70歳になったら、まず自覚しましょう。自分は自然にとっても、人間界にとっても、まったく無価値である。これから貢献できることはほとんどない。この自覚があれば、第2の人生を、自分にとって、また周りのすべての人にとって、きっと良いものにできます。
仕事の面では、70代になったら、新しい技能を習得することは不可能です。また、この変化の激しい時代に、過去の技能や経験で、若い人との互角の存在にはなれません。ただ、世の中には、わずかなサービスの領域で、価格と心がけで競争できる領域がありますので、そこで、第2の人生を楽しく働いていける可能性があるわけです。
迷惑をかけていない。少し役にたっている。この状態を70代初めに確立できますと、90歳までの現役の基本形ができます。いままでの経歴など全て棄てて、自分の本来の姿で、生きていく第2の人生です。悠々自適とか、趣味に生きるとかいうのは大富豪でもない限りまやかしで、そのような存在が大借金国の日本で許されるはずはありません。働いて世の中の役に立つ、それも自分流でできる、それほど幸せなことはありません。70歳が待ち遠しいですね。みなさん、いかがでしょうか。
郡山史郎
株式会社CEAFOM代表取締役社長
1935年鹿児島県生まれ。一橋大学経済学部卒。1959年ソニー入社
スイス、米国に市場開拓マネジャーとして通算12年滞在。米国大企業に転じて、日本代表、北アジア担当、複数の関連会社の社長を歴任。1981年にソニーに復帰し、取締役情報機器事業本部長、常務取締役経営戦略本部長、資材本部長、一般地域統括本部長など歴任。2004年株式会社CEAFOM創業。
国際大学、早稲田大学、一橋大学、九州大学など講義、講師多数。外国人記者クラブ、証券取引監視委員会など講演多数。著書、「ソニーが挑んだ復讐戦」。
ソニー創業者、井深大、盛田昭夫、大賀典雄の直属幹部として永年経営に参加し、社長賞4回の実績あり。現在、多くの企業に対し、経営全般、グローバリゼーション、事業企画などのテーマでアドバイスを行い、また、役員、幹部社員の研修講演なども行っている。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授