新しい習慣を身につけるのに気合いや決意は必要ない。重要なのは曖昧さを排除し具体化を徹底するということ。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
「良い習慣が良い人生をつくる」
ビジネス書、自己啓発書などでよく言われることです。確かにそのとおり。人生はさまざまな習慣によってかたちづくられています。良い習慣を身に付け、悪い習慣を排除することこそ、目標達成のための一番の近道といえるでしょう。
しかし……習慣を身に付けること(あるいは排除すること)は、そんなに簡単なことではないようです。
「しっかり仕事をするぞ!」
「毎日早起きして規則正しい生活を送るぞ!」
「ダイエットのために、ランニングを習慣にしよう!」
気合いを入れ、かたく決意するのだけれど、どうしても続かない……。「結局またダメだった」と、習慣を身に付けられない自分のふがいなさに落ち込んでしまう……。こんなことは、多くの人が経験しているのではないでしょうか?
リーダーの仕事でも同様です。
「明日から〇〇〇を習慣にするぞ!」
大号令を発したとしても、なかなか部下はついてきません。チームに新しい習慣を根付かせることができず、自分の「リーダーの資質」を疑い、自信を無くしてしまいます。「あーあ、誰も俺の言うことを聞いてくれないんだよな……」
実は、新しい習慣を身に付ける(あるいは身に付けさせる)ためには、効果的な「身に付け方」=「続け方」が存在するのです。それには「気合い」や「決意」といった精神力や「部下がついてくる」という求心力などはまったく必要ありません。着目するのは人間の行動原理のみです。
当たり前のことですが、そもそも「習慣」とは、行動の積み重ねに他なりません。ならば、「どうやったら行動しやすくなるのか?」を考え、環境や条件を整えて行動をコントロールすることこそが、習慣づくりのコツ、というわけです。
これが「行動科学マネジメント」の習慣術です。
このときに重要なのは、曖昧さを排除し、「具体化」を徹底する、ということ。具体的に「どんな行動をすればいいのか」がはっきりしていなければ、新しい習慣を身に付けることはできません。
例えば前述の「ダイエットのために、ランニングを習慣にしよう」というような目標は、具体化されているものとは言えません。「毎週月曜日と水曜日と金曜日に、30分間家の周りを走る」といったように、数値化できて、誰が見ても分かるかたちのものでなければならないのです。
あなたがリーダーとしてチームの習慣をつくる場合も、この「具体化」が非常に重要です。「今日から報告・連絡・相談をしっかりやることを習慣にしよう!」などと言っても、それは具体化された目標ではありません。「しっかりやる」という言葉自体が、人によって捉え方、評価がまちまちとなる「曖昧な言葉」です。「報告の回数は? 時間は?」「連絡の回数は? 時間は?」「相談の回数は? 時間は?」これらをはっきり決めなければ、人は何をすればいいかが分からないでしょう。
「しっかりやれ」「もっとがんばれ」「報・連・相を徹底しろ」……そのような指示でチームメンバーが動かないのは、当たり前なのです。
行動が具体化されれば、次は「どうやったら行動しやすくなるのか」を考えます。これが「行動のコントロール」です。このときに忘れてはならないのが、「行動のヘルプ」「動機づけ」「ハードル」の意識です。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授