早稲田大学 IT戦略研究所は、ビジネスチャンスとしての自動車IT化の加速をテーマに「第42回 インタラクティブミーティング」を開催。損害保険ジャパン 取締役常務執行役員の徳岡宏行氏が登場。「道路運転情報(走行データ)の活用事例 自動車保険“ドラログ”」をテーマに、損害保険会社の現状やビッグデータを活用した自動車保険の将来像などを紹介した。
早稲田大学 IT戦略研究所は、ビジネスチャンスとしての自動車IT化の加速をテーマに「第42回 インタラクティブミーティング」を開催。損害保険ジャパン 取締役常務執行役員の徳岡宏行氏が登場。「道路運転情報(走行データ)の活用事例 自動車保険"ドラログ"」をテーマに、損害保険会社の現状やビッグデータを活用した自動車保険の将来像などを紹介した。
損害保険事業の成長を表す変数には、「人口」「自動車台数」「住宅戸数」の3つがある。3つの変数がすべて右肩上がりであれば、保険会社も成長する。しかし残念ながら、人口も、自動車台数も、住宅戸数も減少しているのが実情であり、保険業界にとっては厳しい状況といえる。
このような厳しい状況の中で、損害保険会社はどのような成長戦略を描いているのだろうか。徳岡氏は、「海外展開や生命保険事業への進出、安心・安全・健康に基づく国内新規サービスの産業化などの成長分野に参入していく。また保険市場において筋肉質な体質への自己変革も必要」と話す。
またIT化の推進も成長戦略の1つである。システムでできることはシステム化し、ビジネスプロセスを効率化する。そして人手を介してしかできない分野で差別化をしていくことが必要。IT化では、特にビッグデータの活用は重要なポイントであり、まずは自動車保険の分野で活用していく。
自動車保険は、日本では9割近く普及しているポピュラーな保険である。国内損害保険会社の売上の約半分が自動車保険であり、依存度が高いために厳しい競争にさらされている。自動車保険の平均保険料は約6万5000円で、一般家庭にとってそれほど安い金額とはいえない。そのため保険料の節約もかねて、低価格の保険に流れる傾向にある。
徳岡氏は、「自動車保険の国内市場は小さくなっており、コモディティ化が進んでいる。そこでビッグデータを活用して、価格だけでなく、サービスで差別化していく取り組みを推進している。激化する市場競争に勝ち抜くためには、高度なICTやマーケティング能力、ビッグデータを分析する分析力などが不可欠になる」と話している。
損害保険ジャパンが提供する「ドラログ」は、最先端のテレマティクス技術を活用して、自動車の走行データを保険商品に組み込んだ新しいタイプの自動車保険である。テレマティクスとは、Telecommunication(通信)とInformatics(情報工学)から作られた造語で、移動体に通信システムを組み合わせて提供するサービスである。
一方、UBIは、Usage-Based Insuranceの略語で、自動車保険であれば、走行距離や運転特性に応じて自動的に価格が決まる保険である。UBIには走行距離を自己申告する型の第1世代から通信機器で走行距離を自動測定する第2世代、通信機器とGPSで時間と場所から保険料を算出する第3世代、通信機器とGPSで運転行動を保険料に反映する第4世代まである。
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明治学院大学 経済学部准教授