2020年にはグローバルデジタルヘルス市場は、1000億ドルの規模に成長するといわれている。しかし、その市場性についてはいまだ不透明な点が多い。あらゆる企業が期待を寄せる「デジタルヘルス」という巨大市場の本質はどこにあるのだろうか。
個人レベルでの通信インフラの普及に伴い、デジタルツールを活用したヘルスケアビジネスが近年注目を集めている。特に2014年は様々な場で、デジタルヘルスでのビジネス紹介が行われており、元来のヘルスケアに従事する企業(製薬会社、医療機器メーカー、病院等) だけでなく、電子機器メーカー、通信事業者やシステムプロバイダ、ベンチャー企業等の当該市場への参入が活発になってきている。
デジタルヘルスの定義はあまりにも広大で曖昧なため、その市場規模は調査機関によって様々な値が報告されているが、共通しているのは今後5年の間に年2桁以上での成長が見込まれるということである。主なビジネス領域だけを挙げても、2020年時点には1,000億ドル以上の市場規模が期待されている。(図A参照)
しかし、その内訳を見てみると、現時点では、欧州を中心に普及が進んでいるEMR (電子カルテシステム) や院内連携システム、Telemedicine (遠隔診断)、Telehealth (遠隔治療) など、病院が中心となって、院内、もしくは病院と患者を結ぶソリューションが主流である。また、近年ではモバイルデバイスや健康管理アプリ等のように(mHealth)、個人(患者) が主体的に健康を管理することに主眼を置いたサービスも登場しつつある。昨今聞かれる「デジタルヘルス」という言葉からイメージされている。
市場は、まさに後者のようなサービスではないだろうか。しかし、その市場性についてはいまだ不透明な点が多い。あらゆる企業が期待を寄せる「デジタルヘルス」という巨大市場の本質はどこにあるのだろうか。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授