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» 2016年02月03日 08時00分 公開

Logistics 4.0――物流ビジネスにおける新たなイノベーション視点(2/5 ページ)

[小野塚征志ITmedia]
Roland Berger

2. Logistics 4.0 による省人化

 IoTの進化は、サプライチェーンの各領域において“人の介在”を必要とする作業を大幅に減少させるだろう。自動運転や倉庫ロボットといった新しい技術は、今まで “人” による操作や判断を必要としたプロセスを機械に置き換えるものである。 その行き着く先は、完全なる自動化・ 機械化の実現にある。(図B参照)

Logistics 4.0 による省人化

 とはいえ、短期間に全てのプロセスが自動化・ 機械化されることはないだろう。 過渡的には、部分的な自動運転の実現やパワードスーツの活用などにより、特別な経験やスキル、体力、長時間労働などを必要としない、物流業務の“非3K化”が進むと予想される。結果として、ロジスティクスのコストパフォーマンスは、着実且つ段階的に向上するはずである。

2−1.輸送プロセスの省人化

 Logistics 4.0 による省人化によって、最も大きな変革がもたらされる物流プロセスはトラック輸送である。 国内の貨物輸送に占めるトラックの分担率は、トンベースで90%超、トンキロベースでも50%を超える。そして、人件費が高い日本では、トラック輸送に要するコストの 40%近くをドライバーの人件費が占める。 つまり、自動運転の実現は、物流のコスト構造に大きなインパクトをもたらすといえる。

 世界最大のトラックメーカーであるDaimlerは、2025年までの実用化を目標に、自動運転トラックの開発に取り組んでいる。 2015年に公開された自動運転トラック“Freightliner Inspiration”は、交通量の多い高速道路を時速 80キロメートルで自動走行できる。 既にドイツと米国の公道で試験走行を開始しており、その模様はメディアにも公開されている。

 無論、一足飛びに“ドライバーの不要化”を実現できるわけではない。Daimlerの“Freightliner Inspiration”も、まずは高速道路での自動運転の実現を目指している。 路面表示の不備や天候の不順などによりドライバーの運転が必要となることも前提とした、部分的な自動運転の実現が当面の目標である。 技術的な問題のみならず、法律や自動車保険制度の見直しも必要であり、完全な自動運転を実現するまでには、様々なハードルを乗り越えなければならない。

 しかしながら、高速道路での部分的な自動運転であっても、物流のコスト構造に相応のインパクトを与えることは間違いない。 長距離ドライバーを長時間運転という重労働から解放できるからだ。走行中に寝ることや注文に対応することも可能となる。 特定の区間、ただ“トラックに乗っているだけ”のアルバイト的なドライバーが増えるかもしれない。結果として、トラックドライバーの人件費は確実に下がるはずである。

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