経験値が増えスキルも最大化する40代ですが、仕事と家庭を合算して考えれば、やるべきことが最も多い年代は、全世代の中でも40代がピークです。
一方で、体力や集中力は徐々に減退していくので、抱えているやるべきことの量と、それを行う時間のバランスが崩れていくのを体感するのもまた、40代だといえます。実に大変な世代です。
こうすれば時間を作り出せる、と言うことは簡単ですが、現実はそれほど単純な話ではありません。表面的なライフハックや手帳術で解消できる時間術は、ある仕事では時短につながっても、別の仕事で支障を生むことになったり、結局はモグラ叩きに終始するだけだったとふり返る人もあります。
もちろん、そうした時間管理の方法は決してムダではありません。本書では、正しい時間の見積もり法から、タスクの上手な終わらせ方、予定が狂うボトルネックの解消法、ジグザク法、バックキャスティング法、アウトライン・キーワード法、サラミスライス法、スイスチーズ法などなど、私がこれまで1万人の中高年たちから見聞きした手法を多数紹介しています。
しかし、そうした手法を実践する前に、必ず知っておくべき大前提があるのです。
実は、時間術には、「経済学」と「経営学」の2つがあります。どちらも時間の使い方を考えていく上では大切です。
時間の「経済学」とは、自分の貴重な資産である時間を、「何に」「どのくらい」配分すればその効用、つまり満足度が最大化するかを考えることです。
ちなみに、「経済学でいうところの効用」というのは、国語的には「効き目」を意味する一般的な「効用」とは違って、人が製品やサービスから得られる満足度の水準を表します。
従って「時間の経済学」には、自分の価値観にもとづいた「意思決定」が必要になります。価値観は人それぞれですので、正解は1つではありません。ただし、自分にとって成果につながり、最も効用が大きい配分を考え抜き、選択し、それ以外は捨てる勇気を持たなければいけません。
一方、時間の「経営学」とは、その時間配分が正しいかどうかを「管理し」「調整し」「習慣づける」ことです。これはマネジメントであり、自分を方向付け、変える部分は修正を繰り返す継続的な努力とコントロールが必要です。本書で紹介する数々の手法は、この「経営学」に当たります。
残業問題は、スケジューリングや仕事のやり方の改善だけでは、やはりもぐら叩きになりがちな根深い問題です。なぜなら、仕事は無限に増えていきますし、そもそも自分でいくらでもつくれるからです。
それに歯止めをかけるには「時間の経済学」の意識、つまりはどう生きたら満足度が最大になるかという自覚が不可欠です。
現在、54歳になるUさんは40代で、まさに「時間の経済学」と「時間の経営学」を両輪にして、時間不足問題を克服しました。
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【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授