人材サービス会社でマネージャーだったUさん、30代も終盤だったある日、会食の席で50代の執行役員から20年も前の子供さんが小さかった頃の写真を見せられたのです。何でも子供さんが進学のために下宿し、夫婦2人になってしまったので、子供さんの小さかった頃の写真を持ち歩くようになって、たまに見てはホッコリとした気持ちに浸るのだそうです。
そして、上司は「子供はアッという間に大きくなってしまうから、今の子供との時間を大切にしたほうがいいよ」と一言。
帰りの電車で、Uさんはこのままの子供の寝顔しか知らない生活ではきっと後悔するに違いない、「時間の経済学」としては最低の結果をもたらすに違いないと確信したのです。
そこで効用を高めるために、まずは残業時間を減らし、子供や奥さんと一緒に過ごす意思決定をしたのでした。
具体的には子供が起きている時間に帰宅できるように、毎日午後7時には終業することにしました。
いわゆる「デッドライン法」ですが、これは一時的に仕事に区切りを付けているのに過ぎません。効率化と集中力を駆使して時間を短縮することができても、それによって増殖するタスクを完遂することは不可能であることに気づきました。
そこで、それを解決するためにUさんが実施したのは、「デッドライン・ローテーション」、つまり上期、下期の繁忙期、通常期、閑散期に分けて、終業時間を変えて少しでも満足度を高め、不満足度を低くしようとしたのです。
もちろん、閑散期はありませんが、繁忙期以外の水曜日はノー残業でしたので、家族で一緒に夕食を取ることもできましたし、午後7時には会社を出ていました。
繁忙期は終電近くなることもしばしばでしたが、例外的な繁忙期の変則ローテーションとしてあらかじめ、スケジュールに組み込んでいたので、期が変われば通常のローテーションに戻します。
この「デッドライン・ローテーション」を十数年継続した結果ですが、50代になったUさんは、年の半分は定時に終業するようになり、「時間の経済学」には満足しているそうです。
1962年、群馬県生まれ。株式会社リクルートを経て、アメリカ国際経営大学院(サンダーバード校)MBAを取得。現在、オーダーメイド型企業研修、および法人営業コンサルティングを展開するエマメイコーポレーション代表取締役。
著書に累計28万部の「40代を後悔しない50のリスト」「30代を後悔しない50のリスト」「結婚を後悔しない50のリスト」(ダイヤモンド社)など多数。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授