大薗: さて、そこから80年代に入り、アフリカに新たなマーケットを築いていくわけです。そもそもの発端は、米国の卸市場にウィッグを買い付けに来たアフリカの方をカネカの営業マンが見掛けて、その後を追いかけて話を聞いたところからだそうですね。このような行動を取ったというのは、その営業マンが特別だったのか、それとも企業風土なのでしょうか?
天知: 両方でしょうね。企業風土としては現場主義を大切にしていますし、何よりもアフリカで頭髪装飾品が売れているかもしれないという情報に対して食らい付いてやろうという意識はあったと思います。
大薗: それが見事に花開いて、今ではアフリカで大きなシェアを取っています。カネカがユニークなのは、あくまで企業として行っているのは繊維の提供ですが、その先のウィッグを仕立てるメーカー、現地のパートナー工場や流通企業、消費者の頭にセットする美容師などに働きかけて、この産業バリューチェーンが健全に発展するよう支援されていることです。
一方でお伺いしたいのは、なぜアジアにあるウィッグメーカーの工場からアフリカに商品を輸出せず、現地に工場を建ててもらう手段を選んだのでしょうか。コスト的には高くつくのではないでしょうか?
天知: やはり消費者のいるマーケットで生産したいという「地産地消」の考え方があったからです。最初はいろいろな投資が必要で、コスト面での課題はありました。ただし、パートナーである韓国の頭髪装飾メーカーも海外に打って出ることにアグレッシブだったのと、現地の政府からも結果的にインセンティブを引き出せたことが大きいです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授