「うれしい派」の人は、迷うビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

「迷う人」と「迷わない人」には、はっきりとした違いがある。「迷う人」は、意思が弱いのではなく「迷う考え方」をしているだけなのだ。「迷わない考え方」に変えるには。

» 2016年08月04日 07時14分 公開
[中谷彰宏ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。


『迷わない人は、うまくいく』

 「迷う人」と「迷わない人」には、はっきりとした違いがあります。「迷う人」は、意思が弱いのではありません。「迷う考え方」をしているだけなのです。「迷う人」が、迷わないようになるためには、「迷わない考え方」に変えるだけでいいのです。

 生き方には、

1、うれしい派

2、楽しい派

という2通りがあります。

 仕事をする時でも、「うれしいから仕事をする人」と「楽しいから仕事をする人」の2つに分かれます。

 迷う人は「うれしい派」です。

 AかBかを選ぶ時に、どちらがうれしいかで選ぼうとしても、選べません。「うれしい」と「楽しい」とは違います。

 自分がしたことに対して他者が見返りをくれた時に、「うれしい」と感じます。

 どちらの見返りが大きいかを計算するのが「うれしい派」です。判断基準は、どちらがお金が儲かるか、どちらがほめられるか、どちらが感謝されるかです。実際は、この判断基準では決められません。予測ができないからです。見返りは他者が決めることです。自分では決められません。

 だから、迷うのです。

 「楽しい派」は、どちらが自分にとって楽しいかで決めます。

 他者の見返りとかリアクションとは関係なしに生きているのです。プレゼントの仕方で、「うれしい派」と「楽しい派」の違いがよく分かります。

 「うれしい派」は、プレゼントをあげた時に相手が喜んでくれたらうれしいのです。「これ、持っている」と言われたら、その瞬間にうれしくなくなります。「あの人ひどい。普通、持っていてもそんなこと言わないよね」と思います。プレゼントをあげることで、相手に憎しみが湧いてくるのです。

 「もし相手が持っていたらどうしよう」と事前に考え始めると、選べなくなります。相手の事情だから、予測できないのです。たとえ今は持っていなくても、ほかの人が自分より1ランク上のプレゼントをした瞬間に、アウトです。

 そうなると、まわりのすべての人たちに何をあげるのか聞くことになります。それでも調べ尽くすことはできません。

 これが迷いの原因です。

 結局、AかBかで迷っているのではないのです。「うれしい派」の生き方から抜け出さない限り、迷いからは抜け出せないのです。

見返りを求めると、迷う。

 「うれしい派」の人は、常に見返りをベースに考えています。例えば、就職試験で「私は接客業が好きです。なぜならば、人に喜んでもらうのが好きだから」と言う人がいます。

 言っていることは美しいし、正論です。ところが、この人はすぐ辞めてしまいます。何かをしたら必ず喜んでもらえるのは、赤ちゃんとお母さんの関係だけです。社会に出ると、何かをしたからといって、誰かが感謝してくれるとは限らないのです。

 中谷塾には、介護の仕事をしている人が大ぜいいます。「認知症の人を一生懸命介護してあげて、感謝される?」と聞くと、ベテランの人はニッコリ笑って、「いや、感謝はないですね。毎日噛まれています」と言っていました。

 彼女は「うれしい派」ではありません。介護の仕事を楽しんでしているのです。ほめてもらおうと思うと、介護の仕事は続きません。

 世の中の仕事のうち、99%は見返りのない仕事です。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆