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» 2018年12月10日 07時00分 公開

CIOへの道:CIOの役割は「会社の戦闘能力を上げること」 でも、どうやって? 変化の渦中でRIZAP CIOの岡田氏が描く戦略は (3/3)

[吉村哲樹, 後藤祥子,ITmedia]
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中野氏: そう。ITは技術そのものもトレンドも目まぐるしく変化する。長期投資は“システムより人に注力するのがより本質である”という岡田さんの考えには私も同意しますね。変化を継続的に起こせる組織や人を作っていくことの方が、より本質的な課題だと思います。

岡田氏: よく「CIOをどう育成すればいいのか」みたいな話題が出ますが、これも個人的には違和感を覚えています。CIOというのは選ばれる立場のポジションですから、選ばれるよう自ら切磋琢磨するものです。

 僕自身もこれまで、システムの仕事を30年以上も命懸けでやってきて、その結果、CIOとして選ばれるようになったわけですが、一方でシステムに全く触れたことがない方が、経営管理や総務との兼任でCIOを名乗り、「攻めのIT」などと言っているのを見ると、少し違和感を覚えます。

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中野氏: 「私はITのことはよく分かりませんけど、よろしくお願いします」と言われても……。よろしくも何もないでしょう、あなたの仕事ですよと(笑)。

岡田氏: まったくです。ドラッカーの書物に「何によって覚えられたいか」という言葉があるのですが、私も会社名や役職名ではなく、やっぱり「何をやったのか」で覚えられたいと思ってるんです。仕事って、何か新しいことをやるときには、逆風やハレーションがつきものですが、それらを乗り越えて「こんなことをやった」「こんな失敗をした」「こんな成功を収めた」「こんな責任を取った」ということをたくさん積み重ねていくのが、真の意味でのキャリアなんだと思います。そう考えると、役職なんてどうでもいいんですよ。

 そのときに、「人と違うこと」がすごく重要だと思うわけです。

 CIOといったところで、(覚悟もなく就任してしまったCIOも、覚悟を持って命懸けで職務を全うしようとするCIOも)皆、一緒くたにされてしまうのですよ。だから私は、早く自分の専門としている業界内においては、社名より名前が先に出てくるようになりたいと思っています。「RIZAPの岡田」ではなく、「岡田がいるRIZAP」というふうになりたいんですよね。「岡田がいるユニクロ」だったように。自分の仕事をすればいいと思うんですよ。それがたまたまCIOという役職だっただけの話であって。

中野氏: まず、「自分であることが大切」ということですね。それをベースに置かなくてはだめだと。確かにCIOレベルの話だと、他人のまねをしたところで、その人よりうまくできるはずもありません。まねをするくらいならいっそ、その人の下で働いた方がいいですよね。

 システム企画のような企画職やマネジメント職は、「その人が何者であるか」が仕事に表れる傾向が大きいと思うのです。より大きなチームなり施策なりを方向付けていくには、その根拠となる「その人がどういう世界観を持っているか」が重要になる。よく情シス部長とCIOとの違いはなんだろうなと思うのですよ。技術力やマネジメントスキルがあるというだけでは“部長や課長止まり”な感があり、じゃあ、CIOって何だろうと。もちろん、四天王で最弱じゃない方のCIOですね(笑)

 じゃあ、経営の観点を持てばCIOと呼べるのか? でも、それはたぶん、経験とテクニックの話であり、その立場になって場数を踏めばできるのだろうと。それだけでは何かが足りない気がしています。岡田さんをはじめとする“本気で改革を進めるCIO”の方々とお話しする中で、CIOには必要なのは「より大きな全体像、世界観みたいなもの」なのではと思い至りました。「Six-bubbles」や「3つのP」のようなフレームワークも世界観の一部であり、それを“誰がどんな経験を経て語るか”によって違いが出てくる。フレームワークは実践の中で使い込んできた人が語れば、説得力も実効性も増します。そこまでいけばCIOは、企業にとって非常に重要な役割になると思います。それをCIOと呼ぶかはもう、どうでもいい話ですね。

CIOの持論

IT投資を利益に結び付ける会社は少ない。

IT投資の前に、業務プロセスや組織を作らなければ、何も変わらない。

それをIT部門に丸投げする経営などあり得なく、システムを作ることは、経営の最も重要な役割である。

CIOの使命は、経営の一員として現場とIT組織の中心に入り、会社の「経営課題の解決」や「次なる戦略」を日常業務とつなげていくことにある。

岡田章二


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