目標に追いかけられ、常に「焦り」を感じている人や、そんな部下や後輩をマネジメントしている人は試してみてはいかがだろう。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
あたかも、モヤがかかっているように視界は不良。でも、目をつむってアクセルを全開で踏む。踏まないと未達成になる恐怖があるから。なんとか、滑り込むように、ぎりぎりで目標達成。
目標を追う姿ではなく、目標に追いかけられる心情を喩えたものです。私も新人の頃はそうでした。常に「焦り」しかありませんでした。この本は、そんな昔の私のように、焦りを感じている人、またはそんな部下や後輩をマネジメントしている人に向けて書いたものです。
趣旨は、「逆算」で考え尽くすことで、視界をクリアにし、やることを絞ることで、効率的に目標を達成する方法を紹介するものです。実は、この達成のセオリーを知ると、そんなに焦らずとも、目標は達成できます。大事なことは事実を何事も「逆算で数字」で捉えることです。この手法を習得すれば、あらゆる業界の仕事でも、達成の確率は飛躍的に向上します。ぜひ、参考にしてください。
頑張れば達成すると「足し算思考」で考えるのは危険です。逆算の発想でゴールから逆算をし、達成のシナリオを明確にしておくことです。例えば、四半期(3カ月)の目標が1000万円だったとしましょう。いくらまではできるのか、いくら足りないのか。その足りない数字を「何」で埋めるのかを最初に明確にしておくのです。図を見てください。この図では300万円が“見えない”状態をあらわしています。その不足に対し、3つの打ち手を考えたものがこの図(ウォーターフローチャート)です。このように、「何で埋めていくのか」を最初に明確にしていきましょう。
打ち手(1):単価UP180万で埋める(オプションサービスのご紹介で)
打ち手(2):既存のお客さまの別ニーズを取り込み60万で埋める
打ち手(3):新規開拓60万で埋める
シナリオを立てたら、いよいよ実行です。まず、ショートを累積させないことが絶対の鍵。ショートとは、達成のガイドラインから、下回っている状態を指します。
例えば、「3カ月で1000万円の目標」だとしましょう。これだけでは、1日あたり、どのくらいやればいいか分かりません。でも、1日当たり(60営業日だとして)で割ると、17万円。1日17万円ずつ売り上げを上げれば目標達成できる計算です。
この時、60営業日ではなく、1割程度バッファ(余裕)を作るのがコツ。例えば、54営業日で計算してみると、1日あたり、18.5万になります。このように「目標からの残額÷バッファのある残営業日」で算出した“1日当たりの目標”がガイドラインになります。毎日の契約でなくても、商談の目標、プレゼンの額、何でもOKです。自分なりの逆算で計算したガイドラインを1日の目標に設定し、常にショートがないようにしていきます。
ショートを出さないためには、「予測」と「対策」が不可欠。アナログだけど、達成の確度が上がる、リクルートの「ヨミ管理」はお勧めです。私は、特定の会社のノウハウを紹介するのは避けるべきだと思っていますが、これは別。
ヨミとは、見込み額のことで、ヨミ管理とは、見込み(予測)を精緻に捉え、その日のうちに対策をする手法です。かねてリクルートグループで導入される、より確実に「目標を達成するためのマネジメント」の仕組みです。
ポイントは、ヨミの確度によって、「A〜C」「アタック」に分かれ、精度を高めている点です。
本人の感覚値になるのですが、それでも良いとします。実際、いろいろなシミュレーションの計算をいれて実験したことがあったのですが、意外とアナログのほうが精度が高いのが面白いところです。
ここでは、私が使っていたヨミ表のイメージ図を紹介しましょう。Excelでも簡単に作成できますので、ぜひ試してみてください。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授