「できるマネジャー」ほど自分でやったほうが早いと考えるが、それではいつまでたっても状況は変わらない。
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今、課長職の99%が自分のプレイング業務を抱えたままに、マネジメントをしているといわれています。いわゆる、プレイングマネジャーです。そこで、ジレンマになるのが、自分の業務があるため、マネジメントが中途半端になってしまうというもの。十分に部下との会話はもちろん、先を見越した仕事ができていないのが実情ではないでしょうか。
実は、仕事ができるプレイングマネジャーこそ注意が必要です。私は、年間200回程度の企業研修に登壇しています。すると、ほとんどのプレイングマネジャーは忙しく、休憩時間もずっとPCにかじりついています。中には、食事をする時間がないという人もいます。自分でやったほうが早いと考える「できるマネジャー」ほど、そうなっているのです。
この状況の対策は、ただ1つ。もっと「仕事を任せていく」しかないのです。私が書いた『プレイングマネジャーの基本(かんき出版)』は、そのコツを紹介したい思いで書いた一冊です。今回は、その中から、プレイングマネジャーが知っておきたい「もっと、任せていく」ための実践のコツを紹介します。
プレイングマネジャーがめざす職場のスタイルは、「自主運営」型の組織です。
職場内のミニリーダーを決めて、どんどん、あなたのマネジメント業務を移譲していきましょう。ここで、覚えておきたいキーワードは2つ。「スパン・オブ・コントロール」と「連結ピン」です。
スパン・オブ・コントロール とは、企業内で上司が直接に管理できる部下の人数のことを言います。一般的には、5〜7人程度といわれていますが、プレイングマネジャーとなると、個人の業務もありますので、この半分位2〜4人程度と考えるのが適正です。
連結ピンとは、組織内のコミュニケーションを円滑化するには、「介在役(連結ピン)」が必要という考え方。もし、2〜4人を超えるようなら、このミニリーダー(連結ピン役)をチーム内に置くことです。
権限移譲によって、マネジメントの負担を軽くしながらも、部下の主体性を高められる組織を作ることこそが、プレイングマネジャーが、やっておくべきことなのです。
まず、決断をしてください。「任せるリーダーになる」と。というのも、プレイングマネジャーは忙しく、やはり任せないと、とても追い付かないからです。3つの決断をしてみてください。
あなたの重要な仕事、さらにはチームの業務まで、任せることで、あなたの手間が省けるだけでなく、部下に成長の機会を提供できるのです。
でも、ひょっとしたら、こう思ったかもしれません。うちの部下は未熟だから、任せられない……と。
部下は必ずミスをします。マネジャー自身が失敗への許容度を高めておくことです。この失敗への許容度とは、「セルフコンパッション」といわれ、自分の失敗、他人の失敗を許せる力を指します。自分でうまくできるマネジャーほど、失敗への許容度が低いことが多く、任せられないのです。
そもそも、ミスと失敗は違います。失敗とは、「挽回できない、致命的な事件」。そう考えると、ほとんどのミスは、失敗ではなくなります。
例えば、納期に遅れた、発注ミスをしてしまった、プログラムを間違えた、もちろんどれも見過ごすわけにはいかないミスですが、失敗のうちには入りません。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授