「Iの世界」の成長戦略 イノベーションを起こし、市場を変える既知とアイデアの組み合わせで市場を変えろ(1/2 ページ)

テクノロジーとビジネスモデルの両面からイノベーションを生み出す。

» 2019年11月12日 07時04分 公開
[永井俊輔ITmedia]
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『市場を変えろ 既存産業で奇跡を起こす経営戦略』

 こんにちは、永井俊輔です。クレストHDの代表取締役です。

 クレストHDは、看板(サイン&ディスプレイ)をはじめとする複数の業種で事業を行っており、いずれの業界にも技術、知見、人脈などを持っています。これら貴重な資産を生かし、次世代の市場を作り出すことがわれわれの使命です。

 この取り組みを、われわれはレガシーマーケット・イノベーション(LMI)と呼んでいます。

 前回はLMIを実現する2段階の道のりのうち、1段目にあたる「Lの世界」について紹介しました。Lの世界は、既存事業の生産性を高め、利益、時間、人材などリソースを確保する取り組みです。

 その次にあるのが「Iの世界」です。ここでは、新たな市場を生み出すイノベーションのアイデアを考えます。今回は、そのためのアイデアを紹介します。

図:LMIの概念図

手持ちの商品と「何か」を組み合わせる

 イノベーションというと、世の中に存在しないものをゼロから作り出すイメージを持つ人がいるかもしれません。しかし、LMIにおけるイノベーションはシンプルです。レガシー企業(レガシーマーケット内の企業)が手掛けてきた「商品やサービス」と「何か」の組み合わせがイノベーションです。

 ここでは、手持ちの商品やサービスと組み合わせる「何か」を2つのアプローチで考えてみます。1つは、新たなテクノロジー、もう1つは新たなビジネスモデルです。

 例えば、クレストの代表的な商品であるエサシーは、看板という昔からある商品と、新たなテクノロジーであるカメラ(画像認識)の組み合わせから生まれました。看板にカメラを取り付けることにより、看板を見た人の数や見た時間などを計測できるのがエサシーの特徴で、この商品が誕生したことで、看板を設置するユーザーの間では「看板の設置効果を知りたい」「費用対効果を高めたい」といった新たな需要が生まれました。看板市場に過去にない価値と成長性が生まれたのです。

 同様の発想で、レガシー企業が持つあらゆる商品、サービスと「何か」を組み合わせることで、これまでにない需要を生み出すことができます。以下に、「何か」の例を挙げます。組み合わせた結果を想像しながら、イノベーションのアイデアを膨らませてみてください。

テクノロジーとの組み合わせを考えてみる

 まずはITなどテクノロジーの分野から「何か」の例を挙げてみます。

1、カメラ・画像認識技術(カメラで画像を収集してどんなことが分析できるか)

2、カメラ・文字認識(テキストの自動読み込みや自動入力でどんな効果が生まれるか)

3、マイク・音声認識(ユーザーの声を収集して発見できることはあるか)

4、インターネット接続(ネット接続によって利便性は高まるか)

5、IoTとセンサー(商品からどんなデータが取れるか)

6、モーションセンサー(ユーザーの動きや製品の振動などのデータを活用できないか)

7、ICチップ(個人のIDなどをICカードなどに置き換えると何が変わるか)

8、ビッグデータ(大量のデータを集めて分析できることはあるか)

9、GPS・位置情報(場所が分かることによって新たな価値は生まれるか)

10、VR(仮想現実の世界で提供できるサービスはあるか)

11、AR(現実と仮想現実の組み合わせで新たなサービスは作れるか)

12、5G(大量のデータを短期間で転送した場合に生まれる価値はあるか)

13、ブロックチェーン(信用不要で取引できる商品やサービスはあるか)

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