テクノロジーとビジネスモデルの両面からイノベーションを生み出す。
こんにちは、永井俊輔です。クレストHDの代表取締役です。
クレストHDは、看板(サイン&ディスプレイ)をはじめとする複数の業種で事業を行っており、いずれの業界にも技術、知見、人脈などを持っています。これら貴重な資産を生かし、次世代の市場を作り出すことがわれわれの使命です。
この取り組みを、われわれはレガシーマーケット・イノベーション(LMI)と呼んでいます。
前回はLMIを実現する2段階の道のりのうち、1段目にあたる「Lの世界」について紹介しました。Lの世界は、既存事業の生産性を高め、利益、時間、人材などリソースを確保する取り組みです。
その次にあるのが「Iの世界」です。ここでは、新たな市場を生み出すイノベーションのアイデアを考えます。今回は、そのためのアイデアを紹介します。
イノベーションというと、世の中に存在しないものをゼロから作り出すイメージを持つ人がいるかもしれません。しかし、LMIにおけるイノベーションはシンプルです。レガシー企業(レガシーマーケット内の企業)が手掛けてきた「商品やサービス」と「何か」の組み合わせがイノベーションです。
ここでは、手持ちの商品やサービスと組み合わせる「何か」を2つのアプローチで考えてみます。1つは、新たなテクノロジー、もう1つは新たなビジネスモデルです。
例えば、クレストの代表的な商品であるエサシーは、看板という昔からある商品と、新たなテクノロジーであるカメラ(画像認識)の組み合わせから生まれました。看板にカメラを取り付けることにより、看板を見た人の数や見た時間などを計測できるのがエサシーの特徴で、この商品が誕生したことで、看板を設置するユーザーの間では「看板の設置効果を知りたい」「費用対効果を高めたい」といった新たな需要が生まれました。看板市場に過去にない価値と成長性が生まれたのです。
同様の発想で、レガシー企業が持つあらゆる商品、サービスと「何か」を組み合わせることで、これまでにない需要を生み出すことができます。以下に、「何か」の例を挙げます。組み合わせた結果を想像しながら、イノベーションのアイデアを膨らませてみてください。
まずはITなどテクノロジーの分野から「何か」の例を挙げてみます。
1、カメラ・画像認識技術(カメラで画像を収集してどんなことが分析できるか)
2、カメラ・文字認識(テキストの自動読み込みや自動入力でどんな効果が生まれるか)
3、マイク・音声認識(ユーザーの声を収集して発見できることはあるか)
4、インターネット接続(ネット接続によって利便性は高まるか)
5、IoTとセンサー(商品からどんなデータが取れるか)
6、モーションセンサー(ユーザーの動きや製品の振動などのデータを活用できないか)
7、ICチップ(個人のIDなどをICカードなどに置き換えると何が変わるか)
8、ビッグデータ(大量のデータを集めて分析できることはあるか)
9、GPS・位置情報(場所が分かることによって新たな価値は生まれるか)
10、VR(仮想現実の世界で提供できるサービスはあるか)
11、AR(現実と仮想現実の組み合わせで新たなサービスは作れるか)
12、5G(大量のデータを短期間で転送した場合に生まれる価値はあるか)
13、ブロックチェーン(信用不要で取引できる商品やサービスはあるか)
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授