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» 2020年11月12日 07時07分 公開

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:嫌いな人にも読んでもらえるコンプライアンス教材 (1/2)

法とかルールとかが大嫌いな人にも、楽しんでもらいながらコンプライアンスの基本を学んでほしい。

[秋山 進,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。


『これだけは知っておきたいコンプライアンスの基本24のケース』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトに移動します)

 本書は、法とかルールとかが大嫌いな人にも、楽しんでもらいながらコンプライアンスの基本を学んでもらおうと思って作ったコンプライアンス教材です。社内での研修用または社員の自習用として使ってもらうことを念頭に置いて、極力難しい記述は排除しています。内容としては、(1)よくある事例、(2)その事例が起きるときの社内の様子、(3)その行為は法的にどのような問題か、(4)どんな状況に気を付けておけばよいのか、などをまとめています。

 例えば、こんな事例を取り上げています。

発注後に減額するのはあり?

 (山崎課員)課長、もう発注しちゃっていますから、今から半額にしろとはいえないですよ。新東京設備さんも工事始めています。

 (森課長)何言っているんだ、上からの命令だからなんとかしろ。別に正式な契約書は結んでないんだろう。

 (山)契約書はありませんし、発注書もありません。

 (課長)メールで発注した履歴も残していないだろうな。

 (山)新東京さんとは、いつも口約束で進めていますから。(1)

 (課長)よし。じゃあ、何の問題もない。うちは正式に金額を指定して依頼していないのに、相手が勝手にフルスペックで工事を進めたということにすればいい。ちょっとかわいそうだけどな。

 (山)課長、ちょっと待ってください。長年の信頼関係はどうなるんですか。うちのためにすごく頑張ってくれていますよ。

 (課長)それはそうだが、仕方がないんだよ。うちも大ピンチなんだから。それに新東京くらいの下請け企業なんか、探せばほかにいくらでもある。もしもめるようなら今度の案件は、新しいところに頼めばいいから。

 (山)訴えられたら勝てますか?

 (課長)新東京が訴える? 訴えるわけないだろう。(2)うちが負けることはないが、負けたとしても工事費を全額取られるくらいだ。向こうは「すぐに訴える会社」という悪いレッテルを張られることになる。そんな会社には誰も頼まなくなるから、めったなことでは訴えたりしない。

 (山)せめて、半分の額に加えて用意した部材の費用だけでも払ってあげたらどうでしょうか?

 (課長)そんなことをしたら、フルスペックの契約が実在していたということになって、全額払わなければならないことになる。優しすぎるヤツは出世しないぞ。

 (山)そうはいっても違法行為のような気がしますので法務部に確認してみます。

 (課長)何を考えているんだ。……

法的解説

 そして、この事例に対して簡単な法的解説をしています。ここは読みとばしてもらっても構いません。

  • 下請法(発注後減額)

 本件は、発注後に減額をする行為であり、下請法違反となります。下請法は、仕事を発注する側が、受注する側に不利益を押し付けることのないよう下請取引の公正化・下請事業者の利益保護を目的として制定されたものです。下請法では、一定の資本金額以上の親事業者(仕事を発注する側)が一定の資本金以下の業者(個人を含む)に仕事を発注する際に「発注書面の交付義務」「下請代金の支払期日を定める義務」「書類の作成・保存義務」「下請代金の遅延利息の支払義務」を課しています。さらに受領を拒否すること、下請代金の支払いを遅延すること、下請代金を減額すること、返品をすること、買いたたきをすること、購入・利用強制をすること、不当に給付内容を変更してやり直しをさせることなど11の禁止項目があります。これらの罰則としては50万円の罰金、さらには公正取引委員会などから「勧告」「指導」の処分、親事業者の名称や違反内容が公正取引委員会のWebページなどでの公表があります。

抑止のカギ

 さらに、事例解説のところで注を入れていること(抑止のカギ)に関しての解説を行います。

 (1)長年の慣行で仕事の発注がいまだに口頭で行われており、親事業者の義務である発注書面の交付義務を満たしていない取引が散見されます。下請法を順守するうえでも、ミスを防ぐ意味でも、組織として文書を作り交付する習慣をつける必要があります。

 (2)下請業者は親事業者の言う通りに従うと考えている管理職もいますが、そういう時代は終わりました。毎年下請業者には公正取引委員会から実態調査のアンケートが送られており、問題のある親事業者は告発される可能性があります。さらには、下請けいじめをしていると、訴訟を受けたり、SNSなどでの企業の評判低下が起こったり、仕事にも悪影響が出る時代になっています。下請取引に対する考え方を根本的に変えたほうがよいと考えられます。

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