本書は、このような形式で、よく発生するコンプライアンスのケースを24個取り上げています。ケースは以下のようになります。
1、15 年以上続いているデータ偽装[虚偽表示(不正競争防止法)]
2、他社の企画書のパクリ使用[著作権侵害(著作権法)]
3、毎年続いている架空取引[有価証券報告書の虚偽記載(金融証券取引法)]
4、ライバル会社との小さな談合[不当な取引制限(独占禁止法)]
5、赤字回避策としての購買要請[金融証券取引法違反目前の危険な行為]
6、公的補助金の不正受給[詐欺罪(刑法)]
7、経理部長の使い込み[業務上横領罪(刑法)]
8、無理やりつくった増収増益[粉飾決算目前の危険な行為]
9、社長の不透明なお金の使い方[特別背任罪(会社法)]
10、クレーマーからの度重なる言いがかり[脅迫罪、恐喝罪等(刑法)]
11、「議事録を2通つくれ」との上司の指示[業法違反、私文書偽造等罪(刑法)]
12、取引先との小さな接待の果て[詐欺罪、業務上横領罪、背任罪(刑法)]
13、外国政府がらみの取引の問題[外国公務員贈賄罪(不正競争防止法)]
14、取引先への発注後減額の要請[発注後減額(下請法)]
15、出張先の写真のSNS へのアップ[情報漏れ(違法行為ではない)]
16、未公開情報をもとに株式売買の画策[インサイダー取引(金融証券取引法)]
17、根拠のない「No. 1」の広告表示[優良誤認表示(景品表示法)]
18、同僚の性にまつわるうわさ話[環境型セクシャルハラスメント(民法、労働契約法)、名誉毀損]
19、形骸化した月45 時間以内の残業[サービス残業(労働基準法)]
20、副業先からの情報漏洩[営業秘密の漏洩(不正競争防止法)]
21、顧客データの用途制限外の使用[個人情報の目的外利用(個人情報保護法)]
22、形骸化した法律を無視[意味のない古い法律(業法等)]
23、秘密裡に進められる人減らし[パワーハラスメント(パワハラ防止法)]
24、元請けからの販売要請[優越的地位の濫用(独占禁止法)]
これらのケースを一通り学習すれば、一般企業の管理職や社員が遭遇しそうなコンプラ問題は(業界特有なものを除いて)ほとんどカバーできるはずです。この基本24ケースを汎用ものとして活用し、さらには業界や自社に特有なケースを追加して社員向けに研修等をすることで、コンプライアンス問題の発生をかなり抑止できるのではないかと考えております。上記のケースを見て、自社の社員の行動が心配になった場合は、ぜひ手にとってみてください。
奈良県生まれ。京都大学卒業後、リクルートに入社し事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人などさまざまな団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織構造設計、人事制度設計などのプロフェッショナルが集まるプリンシプル・コンサルティング・グループを主宰し、代表取締役を務める。
著書に『それでも不祥事は起こる』(日本能率協会マネジメントセンター)、『「一体感」が会社を潰す』(PHP研究所)、『職場の「やりづらい人」を動かす技術』(KADOKAWA)、共著書に『社長! それは「法律」問題です』『実践コンプライアンス講座 これって、違法ですか?』(以上、日本経済新聞出版社)など。
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【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授