未来を創るプレゼン――最高の「表現力」と「伝え方」ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

過去、現在、未来を意識し、行動してみてほしい。

» 2020年08月06日 07時07分 公開
[伊藤羊一, 澤 円ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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「未来を創る」ということについて(伊藤 羊一)

『未来を創るプレゼン――最高の「表現力」と「伝え方」』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトに移動します)

 こんにちは、共著者の伊藤羊一です。

 私からは、本のタイトルにもある「未来を創る」ということについて、話をします。

 リーダーの皆さんが仕事で人に話す機会は、たくさんあると思います。どんな話に価値があるのでしょう。

 過去のことを単に報告しても、それだけでは、あまり意味はないでしょう。それだけでしたら、リーダーの口から話を聞く必要がないからです。

 「また東京は新型コロナウイルス感染者が増えてきましたね」といった世間話も、それだけでは意味がないでしょう。「だからどうしたの?」という話です。

 では何を語ることに価値があるのか。

 リーダーは「未来を語る」ことに価値があるのです。

 そもそもを考えてみますと、リーダー(leader)とは、リード(lead)する人です。「未来」に向けてリードするのです。

 ですから、「未来を創って語る」のが、リーダーなんです。当たり前ですよね。当たり前のことなので、多くの方が無意識にこれをしています。そうではなくて、意識して行うことに意味があると私は考えます。

 未来はどうやって創っていくか。

 未来を想像することは大事です。ですが、経験を積まれている皆さんは、「未来への憧れ」を想像するだけで未来は創ることはできないことは、お分かりと思います。

 それ以上に重要なことは、今、自分が大事にしている想いに基づき行動し、行動し、行動する。そして一つ一つの成果が積み上がっていき、結果、未来は創られていくのです。

 では、その「大事にしている想い」は、どこから来ているのか。

 無から生みだすものでも、天から降ってきているのでもありません。ご自身が過去、人生を送り、ワクワクし、楽しみ、苦労し、つらい思いをし、成し遂げ、ということが積み重なり、現在の「大事にしている想い」になっているのです。

 としたならば、「過去」の経験が、「現在」の大事にしている想いにつながる。その「現在」の大事にしている想いに従い行動することで、「未来」を創っていく。

 ご自身の組織のことについても、また自分自身についても、「過去」を振り返り、「現在」大事にしている想いを知り、「未来」に向けて行動していく。過去こんなことがあった。だから現在、私はこういう想いを持っている。現在のこの想いに従って、こういう未来を創ろうと、今、私は行動している。

 これがリーダーがすべきことであり、リーダーが語るべきストーリーです。

 過去―現在―未来を意識することで、自身の取り組みに自信が生まれますし、そしてチームや、周囲に対する説得力が生まれます。ぜひ、「未来」だけを考えるのではなく、「過去」を振り返り、そこから「現在」大事にしている想いを知り、「未来」に向けて行動する。これを意識しながら、仕事し、そして語りかけてみてください。

 未来は予測するものではなく創るもの。ぜひ、私たち一人一人の想いと行動で、すてきな未来を創っていきましょう。

解像度を高めて話すということ(澤 円)

 こんにちは、共著者の澤です。私からは、「解像度を高めて話す」ことの大事さについてお伝えします。

 普段の会話の中で「いつも」「たくさん」「みんな」という言葉、よく出てきませんか? あるいは「自分も結構言ってるな……」と思った方もおられるでしょう。

 別にこの言葉そのものがいけないということではないのですが、この「曖昧さ」を意識することで、「伝えること」のヒット率は、確実にあげることができます。

 「いつも」「たくさん」「みんな」といった言葉は、極めて主観的かつ感覚的な表現です。

 例えば「いつも」というのはどの程度の頻度を指しているのかは、人によって違います。「あなたはいつも仕事でミスをしますね」と誰かから言われて、「はい、いつもミスをします!」と納得できるでしょうか。「いつもってなんだよ、100%ミスするみたいな言い方して、不愉快だな」と思ってしまっても無理はないでしょう。

 かくも、曖昧な表現は「相手との合意」が難しくなるものです。

 「伝える」ことのヒット率を上げたいのであれば、もっと具体的な言葉を使う習慣づけが大事です。

 「いつも」がどの程度の頻度なのか、数値化するだけで説得力が高まります。特に、ミスを指摘するときなどは「ここのところ、3回同じミスが続いていますね。原因を一緒に考えませんか?」と伝えれば、相手も改善策を受け入れやすくなるのではないでしょうか。

 これを私は「解像度を上げる作業」と呼んでいます。

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