勝ち逃げできない世代の新常識とは?
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「もし私が神だったら、青春を人生の終わりにおいただろう」とはアナトール・フランスの名言ですが、65歳以降の人生が青春のようだったらどんなに幸せなことでしょう。
しかし、そんなほのかな夢を打ち砕いたのが、年金だけでは2000万円が不足するという物議を醸した例の「2000万円問題」です。なんだかんだいって、すでに年金をもらっている世代は、勝ち逃げ世代に違いありません。
一方、現在の私たち50代は「勝ち逃げできない第一世代」であるだけでなく、今いま直面しているコロナ禍の直撃を受ける世代でもあります。直撃といったのは、リーマンショックをはるかに超える不況が起こった時、真っ先にリストラの対象になるからです。
コロナ禍の影響を回避できたとしても、役職定年、グループ会社や融資先への転籍など収入だけでなく、モチベーションまで低下する「試合終了」に向かう10年に他なりません。
定年延長といっても、50代の収入のまま65歳まで働けるわけではありません。50代後半の役職定年で年収が下がり、65歳まで再雇用されるといっても、下手をすると新入社員レベルの年収や時給1200円レベルにまで下げられてしまうのが現実です。
では、どうするか?-――
新卒でリクルートに入社後、なんとかいい未来にしようと上司、先輩、社外の大手・中小企業経営者、管理職にアドバイスを求め、挫折、失敗、後悔、さらに「後悔しない方法」を片っ端から聞いてきました。その結果、私の人生は大きく好転したため、現在でもそのインタビューは継続中で、その数は1万人を超えます。
そのインタビューの中で、すでに定年退職してしまっている人たちが後悔するNo.1は、「定年後の人生設計をしておけばよかった」ということでした
定年直前に「定年後はどうされるのですか?」と問われ、「ちょっと充電してから考えます」というのは、よくある問答なのですが、定年後の計画を50代で準備しておかなかった人の多くが後悔しています。
なぜなら、「思考停止」状態になって「何をするか」「何をしたいか」すら見つからないからです。
組織の中で、宮仕え生活を30年、40年続けていると、「本部長はどう思うか?」「経営陣はどう判断するか?」「顧客はどうしたいか?」と配慮し、おもんぱかることに慣れてしまい、「自分が何をしたいか?」が思い浮かばなくなってしまうといいます。
やっと「自由に考えていい立場になった」のに、「そもそも“自由”ってどういうことだっけ?」、と戸惑ってしまうというではありませんか。
そうした先人たちの轍を踏まないために、50歳になった時点で「65歳以降、どうしていることが自分にとって一番ハッピーなのか」、逆に「これだけはノー!」という二方向から考えるなどして、「人生計画」のベースをつくっておきましょう。
その際、定年後の本やちまたでいわれている「一般論」を信じてはいけません。
「一般論」というのは
・再雇用の年収は300万円前後が普通
・「年金額は夫婦で月24万円くらい」
・「希望の職種に60代の求人なんてない」
といったものです。
数字が入っているだけに「そんなものだろう」と信じてしまいがちですが、こうした「一般論」とは異なる定年後を過ごしている人はたくさんいます。
ホントは定年後の年収は職種による「需要と供給」で決まっているのです。そもそも事務系か、技術系かで全く違いますし、設備系、施工系、設計、施工管理系、制御系、工場建設、工場のオペレーション、IT系の技術者は何歳になっても働けるでしょう。
知人の父親は78歳までインドの工場立ち上げのために単身赴任していました。
事務系でも、貿易実務、薬事、人事、総務、経理、財務といった専門職には需要があります。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授