成果をあげにくくしている4つの現実に身をゆだねてしまえば成果は生まれない。成果をあげている人は、どんな習慣を身に付けているのだろうか。
今回のテーマは、成果をあげる人の第3の習慣「アクションプランをつくる」だ。
私たち知識労働者は、成果をあげるために仕事をしている。しかし、極めて成果をあげにくい現実の中で仕事をしている。その現実は次の通り4つある。
自分の時間は常に誰かに奪われる。もちろん相手はこちらの時間を奪おうと思っていない。大事なメールを打っている時に上司から呼ばれれば、その仕事を中断して、上司の所に行かなければならない。重要なことを考えている時に部下から助言を求められれば、手を止めて部下の話に耳を傾けなければならない。必要な会議もあれば無駄な会議もたくさんある。意味のある会議もあれば意味のない会議も多くある。
自分が出席する対象であれば、無駄な会議も、意味のない会議も出席しなければならない。たとえ心ここにあらずとも、体は会議の場になければならない。成果を生む仕事に費やす時間はどこにあるのか、と言いたくなるほど、時間を無駄にされる圧力は常にある。これは多くのビジネスパーソンを悩ます、成果をあげにくくしている現実である。
成果をあげるには現状を変えるための行動が必要だ。しかし、仕事は日常のルーティンに固められている。一般社員は当然のことながら、管理職者であっても、自分の仕事の中身は勝手に変えられない。成果を生む仕事ができる工夫はほんのわずかしかない。日常の仕事に身を任せ、日頃の業務に埋没したままであれば、成果を捨てることになる。
経営者は、会社の方向性やビジョンを明確に打ち出さなければならない。ところが、その経営者が日々なれた仕事に引っ張られている。管理職は自分のノルマをクリアする中で、部下への意思伝達で精いっぱいだ。部下は上司に自分の仕事を報告することそのものが仕事になっている。成果をあげるための仕事に使える時間はわずかしかない。経営者も、管理職も、一般社員も、みんながみんな、成果をあげにくい現実の中にいる。
私たちは「苦手なことは頑張ろう」と義務教育で教えられてきた。社会に出たらそうではない。「強みを生かして成果をあげよう」のはずだ。しかし、義務教育で教えられた「苦手なことは頑張ろう」という考えが、頭の中の主(ぬし)となって動かない。できることよりできないことに焦点があたる。成果をあげることより自分を修正することを強いられる。自他ともに強みを生かしにくい環境にある。自分の強みを生かせず、他者の強みを生かせなければ成果は生まれない。まさにそれは、成果をあげにくくしている現実である。
経営者であろうが、管理職であろうが、一般社員であろうが、部門間の摩擦や人間関係の問題やうわさに翻弄される。外部で起こっていることより、内部の問題に注意が向けられる。組織が大きくなればなるほど、何か一つ行動を起こすだけで面倒な手続きが要る。何か一つ合意を得ようとすれば根回しが要る。
トップ以外の人には全て上司がいる。「上司にどう対応するか」で悩まない人はいない。上司の同意が得られず仕事が進まないこともある。成果とまったく無関係の仕事や気遣いにエネルギーを消耗させられる。時には他部門の圧力や同僚の嫉妬の力が働き、立ち回りにくくなることさえある。そのような組織の文化が、成果をあげようとする人を事なかれ主義に引きずり込んでいく。そして、問題を起こさないこと、円満を維持することこそが成果であるかのような錯覚を起こさせる。勇猛果敢に成果をあげることを忘れさせるような現実である。
以上が、「成果をあげにくくしている4つの現実」だ。私は経営者向け、管理職者向けの研修を行う際に、必ずこの4つの現実を紹介する。多くの企業が「耳が痛い。わが社そのものだ。私の上司もそうだ。自分もそうだ。私の部下もそうだ」と口をそろえて言う。これら4つの現実は変えられるのだろうか。
ドラッカーはこう言っている。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授