第4の習慣 意思決定を行うドラッカーが教える成果をあげる人の8つの習慣(2/2 ページ)

» 2021年02月09日 07時02分 公開
[山下淳一郎ITmedia]
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 その後、決定に至るまでかなりの時間を要した。結果、アメリカに進出した。そして事業は急成長していった。経営チームはのちにこう述懐していた。「あの時、全員が安易に同意していたら、アメリカの進出は挫折していた。反対意見があったおかげで、前もって解決しておくべき課題を見つけ出すことができた」

 相反する意見の衝突、異なる視点との対話、異なる判断の間の選択があったからこそ、成果をあげる意思決定となった。

成果をあげる意思決定の5つのステップ

 経営者であろうが、管理職であろうが、役職を持たない一般社員であろうが、皆が成果をあげるために仕事をしている。全員がエグゼクティブである。私たちエグゼクティブは、どんなことを検討し、どんな手順で意思決定を行えばいいのだろうか。

 ドラッカーはこう言っている。

エグゼクティブたる者は、いくつかの明確な要素と手順から構成される体系的なプロセスとして、それらの意思決定を行わなければならない。しかしそのプロセスは経営書の多くが教えているものとは大きく違う。

ピーター・ドラッカー

 ドラッカーが言う、いくつかの明確な要素と手順から構成される体系的なプロセスとは次の通りだ。

1、問題の種類を知る

 繰り返し起こる問題とまれにしか起こらない問題とでは対応は異なる。繰り返し起こる問題は意思決定を行うのではなく、方針やルール、原則をつくればいい。

2、必要条件を明確にする

 「この場合はどうすればいいか」「決めたあとでそのことについて考えていなかった」。意思決定したあとにそんなことが起こらないように、必要なことは全て明らかにしておかなければならない。

3、何が正しいかを知る

 現実、何らかの妥協は必要となる。しかし妥協からスタートすれば間違った妥協をしてしまう。従って、妥協のない考えを明らかにしておかなければならない。

4、行動に変える

 決めたことを具体的なアクションに落とし込まなければ、決めたことは絵に描いた餅で終わる。成果をあげるために、行動に変えなければならない。

5、フィードバックを行う

 成果が身を結ぶまでは、意思決定は、仮説にすぎない。意思決定したことが望む結果をつくり出せたかどうかを確認しなければならない。

 それら5つを繰り返し行うことによって、「意思決定を行う」ことを習慣にしてほしい。成果をあげている人はそれを習慣にしている。

(参考文献:次の書籍の中から一部引用させていただいた。『経営者の条件』)

著者プロフィール:山下淳一郎 ドラッカー専門の経営チームコンサルタント

ドラッカー専門の経営チームコンサルティングファーム トップマネジメント

東京都渋谷区出身。ドラッカーコンサルティング歴約33年。外資系コンサルティング会社勤務時、企業向けにドラッカーを実践する支援を行う。中小企業の役員と上場企業の役員を経て、ドラッカーの理論に基づいた経営チームをつくるコンサルティングを行う、トップマネジメントを設立。現在は上場企業に「経営チームの研修」「経営幹部育成の研修」「後継者育成の研修」を行っている。 

著書に『ドラッカーが教える最強の後継者の育て方』(同友館)、『ドラッカー5つの質問』(あさ出版)、『新版 ドラッカーが教える最強の経営チームのつくり方 』(同友館)、『日本に来たドラッカー 初来日編』(同友館)、『ドラッカーが教える最強の経営チームのつくり方 』(総合法令出版)、『ドラッカーのセミナー』(Kindle)、『ドラッカーが教える最強の事業承継の進め方』(Kindle)がある。主な連載に『ドラッカーに学ぶ成功する経営チームの作り方』(ITmedia エグゼクティブ)がある。ほか多数。


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