必ず訪れる「売り上げ3分の2時代」に生き残るために企業が今からやるべきこと将来の人口減少が売上減少につながらないための秘策とは(2/2 ページ)

» 2023年03月28日 07時06分 公開
[内田光治ITmedia]
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 経理部門に入り込んで一緒に仕事をしてみると、当時の経理担当が振替伝票を起票していました。しかし、すでに会計システムを導入していたので、銀行口座の入出金も会計システムに入力すればよく、アナログ時代のプロセスだけが残っている状態だったのです。

 管理部門では、退去する入居者から口頭の連絡だけでなく、所定の「退去通知」というハガキを送ってもらっていました。それが届けばいいだけなのですが、わざわざ「退去通知を拝受しました」という手紙を返送していたのです。

 以前、「退去通知が届いたなら返事がほしい」というお客さまからの連絡があり、全ての退去者に返事をするようにしたそう。ただ、それまでそんな連絡は一度も発生したことがなかったのですから、極めてレアなケースに対し、業務プロセスをひと手間増やしていたに過ぎません。

業務の流れを一通り体験する

 「業務の洗い出し」とは、このような外側からは見えない細かな非効率を、1つ1つ見つけ出して現状を認識する行為であり、「ムダ取り」とはシラミつぶしの地道な行為なのです。

 そこで私は、ウチダレックの実態を把握するために、各部署の業務を全て覚えてやってみることにしました。

 実際に業務に携わってみる。これが、効率化への、地道ですが着実な一歩となります。別にスペシャリストになる必要はなく、ある程度の業務の流れを覚えればOKです。短期間でできるわけがありません。そのため、各部署の従業員が協力し、自分で業務プロセスを開示してくれることが理想です。

 自分で自分の業務をマニュアル化し、第三者に分かるように伝えてもらうのです。

 経営者ではなく管理職や一般社員である場合、各部署の業務に入り込むことはトップの特別な許可でもない限り困難でしょう。そのため、改革プロジェクトを組織し、各部署で主体的に取り組んでくれるメンバーを集め、意思統一を図り、各部署の業務プロセスを開示していくことがスタートになると思います。

 そこで出た問題を、アウトソーシングしたり、システムを導入したりしてはじめて、真の効率化は実現できます。なかなか手間がかかりますし、時間もかかります。内部からの反発もあることでしょう。しかし大変だからこそ、それを実現できたときは、売上3分の2時代がきてもびくともしない強固な組織がつくれるのではないでしょうか。

著者プロフィール:内田光治

ワークデザイン代表取締役 兼 ウチダレック専務取締役

1986年鳥取県生まれ。

慶應義塾大学経済学部を経て、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。楽天株式会社、フィンテックのベンチャー企業株式会社ネットプロテクションズを経て、株式会社ウチダレックに入社。繁忙期の深夜残業、業務の属人化を目の当たりにし、地方の人口減少下においても、成長し続けられる働きやすい企業を目指し、業務のDX化を軸とした業務改革を実行。不動産業界初の週休3日を導入、同時に社員ひとりあたりの営業利益2.5倍を達成。総務省が共催している「全国中小企業クラウド実践大賞 2020」で「全国商工会連合会会長賞」を受賞。メディアでも取り上げられるなど、その取り組みは、全国的に高い評価を得ている。

現在は、自社での経験をもとに開発した業務効率化クラウドサービス「カクシンクラウド」を開発/販売するワークデザイン代表取締役 兼 ウチダレック専務取締役を務める。


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