第22回:部下から共感を得られるマネジャーの方針の示し方とは?マネジメント力を科学する(1/2 ページ)

ハッキリ言うのが苦手な人は、役割に徹してみてはいかがだろうか。

» 2024年01月24日 07時01分 公開
[井上和幸ITmedia]
『できるリーダーは、「これ」しかやらない』

 エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。

 マネジャーやリーダーが抱える悩みやプレイングマネジャーの仕事の任せ方などについて、ベストセラー『できるリーダーは、「これ」しかやらない!』の著者で、らしさラボ代表の伊庭正康さんと当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談の内容からお届けする第22回です。(2022年9月9日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:できるマネジャーは、「これ」しかやらない!」)

ハッキリ言うのが苦手なリーダーは「役割に徹する」ことで言えるようになる

 最近、サーバントリーダーシップなど支援型のリーダースタイルに重きをおくようになったことと相まって、「やり方もボトムアップ、方針もボトムアップ」というスタイルに陥るマネジャーがいます。

 このマネジャーが、最初は受けがよかったものの、実は「どの意見にもイエスと言っていたこと」がバレてしまった。それで「全部にいい顔をしているだけじゃないですか」と、メンバーみんなの不満が一気に噴出してしまったのです。

 これに対して伊庭さんは、ハッキリ言うのが苦手な人には「役割に徹する」ことを勧めるとアドバイスします。

 例えばパナソニックコネクティッドソリューションズ社の樋口社長は、「経営者の役割とは何か? それは、お客さまの期待を超え続けることである」と。

 そう考えれば、社内の機嫌を取ることも大事かもしれませんが、それ以前にまずは、お客さまの期待を超え続けることが大事。だから、誰よりも「お客さまのことを知るという役割」に徹する。

 樋口社長は基本的に、「お客さまはこういうことを期待しているので、どうだ?みんな」というアプローチに役割として徹しているそうです。分かりやすいですよね。

リーダーが持つべき、2つのアプローチ

 伊庭さんは「リーダーには2つのアプローチが必要だ」という話をしているそうです。

それは、「方針はトップダウンアプローチ、方法はボトムアップアプローチ」です。

 「俺はこれがやりたい。この指、止まってもらっていい?」という時に、「いいっすね、その考え!」と、指に止まる人が何人いるか。つまり、指に止まる人が多数いるからこそ、方針がトップダウンでも許されるのです。

 「この方針いいっすね」「この指止まります」「止まります」という声をいかに引き出すか。それには、「シェアナンバーワンになろうぜ!」とか「よし、今度100億円を目指そうぜ!」といった「われわれが幸せになるためにがんばろう」というだけのリーダーではダメだと伊庭さんは指摘します。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆