ローソンが「未来のコンビニ」オープン、デジタル技術融合 顧客満足度向上と省人化対応

店内での買い物客らの行動をデジタル技術で分析し、おすすめ商品をサイネージ(電子看板)で表示するなど利便性を向上。ロボット技術により自動で掃除や調理、商品陳列も行い、省人化にも対応する。

» 2025年06月24日 08時05分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 コンビニ大手のローソンは23日、実店舗にデジタル技術を融合させた未来のコンビニ「Real×Tech LAWSON(リアルテックローソン)」の1号店を東京都内にオープンした。店内での買い物客らの行動をデジタル技術で分析し、おすすめ商品をサイネージ(電子看板)で表示するなど利便性を向上。ロボット技術により自動で掃除や調理、商品陳列も行い、省人化にも対応する。

スイーツを手に取ると、コーヒーなどお得な買い合わせをサイネージに表示=23日午後、東京都港区のローソン高輪ゲートウェイシティ店

 リアルテックローソン1号店としてオープンしたのは東京都港区の「高輪ゲートウェイシティ店」。大きな特徴は、ローソン株を50%保有するKDDIの通信技術や人工知能(AI)を活用した買い物客へのサポートだ。

通信技術やAI活用

 「おすすめ商品」。買い物客が商品棚の前に立つと、上部に設置されたサイネージにPRの言葉とともにおすすめ商品が表示される。買い物客の店内での行動をAIカメラを活用して解析し、商品選びに悩んでいるようならランキング上位商品の情報も提供する。商品に手を伸ばした際には、「そのお弁当と一緒にお茶をご購入いただくと50円引き」などとお得な買い合わせ情報も提供し、買い物をアシストする。

 また、商品棚のプライスレールをタッチすると、従来のコンビニでは難しかった商品の詳しい情報もサイネージに表示。店内調理の弁当や総菜の出来立て情報もサイネージにリアルタイムで告知される。

人手不足はロボット対応

 一方で、コンビニ業界で顕著な人手不足や業務の効率化にはロボット技術で対応する。時間予約することにより自動で床清掃を行う清掃ロボが活躍。人気の揚げ物「からあげクン」などの調理には調理ロボを導入、将来的にはボタン一つでの揚げ物の調理も視野に入れる。重い飲料の陳列もロボットが自動で行う。年齢確認が必要で、有人店舗でなければ難しかったタバコなどの販売も、3Dアバター(分身)の支援で無人レジでも可能にする。

 今回の取り組みは、買い物客の利便性の向上と労働力不足のカバーの両立を実現し、コンビニ業界で生き残りを図るのが狙い。ローソン株を保有するKDDI、三菱商事と課題解決のための具体策について議論を続けてきた。

「新しい価値をつくる」

 ローソンの竹増貞信社長は23日の説明会で「リアルが持つ温かさとテクノロジーが持つ力を掛け合わせて新しい価値をつくっていくコンビニになるのではないか」と話した。

 来月には、高輪ゲートウェイシティに移転するKDDI新本社内のフロアにもリアルテックローソンの2号店を開店。1号店と合わせた2店舗の実証結果を踏まえ、デジタル技術の導入を国内外の店舗に展開したい考えだ。

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