田んぼが広がる越後平野の一角にある食品スーパー「マスヤ味方店」が、令和6年までの3年間で売り上げを約3倍に伸ばし、話題になっている。
田んぼが広がる越後平野の一角にある食品スーパー「マスヤ味方店」(新潟市南区)が、令和6年までの3年間で売り上げを約3倍に伸ばし、話題になっている。4年前に店長に就いた栗林礼奈さん(34)が独自の店舗運営を展開し、赤字続きの店をよみがえらせた。目指すは“スーパー業界の異端児”という。
売り上げを大きく伸ばせたのは、独自の商品ラインアップと店舗運営が大きいと思っています。
普段から全国のスーパーをめぐり、地域の食べ物を食べてみて、おいしければ仕入れて販売します。また口コミで評判になっているものがあれば、取り寄せて自分の舌で確かめ、納得したら仕入れます。
マスヤはインスタグラムで店の商品情報を発信していて、フォロワーが約1万2千人います。全国のフォロワーがおいしい食べ物を紹介してくれますので、そうしたものも試食した上で仕入れています。
全国から仕入れた自慢の商品は、その魅力をアピールする自作のポップ(商品説明)を設置して販売しています。店頭は、ちょっとした全国うまいもの物産展のようになっていて、お客さまがワクワクしながら買い物していただけるように工夫しています。
さらにマスヤでは、他のスーパーがやらないようなことにも挑戦しています。
例えば、マスヤが地元の農業法人から仕入れているブランドサトイモ「蘭(あららぎ)」を、ミシュランの一つ星を獲得した新潟市内の高級日本料理店に私が売り込み、食材として使っていただきました。
また、農協が買い取ってくれない規格外野菜を多く抱えて困っている農家がいれば、マスヤが安く買い上げ、安く販売します。野菜が高騰している折、多少見た目が悪くても安ければ、お客さまは喜んで買ってくれます。お客さまも農家もマスヤもウィンウィンの関係になることが大切です。
こうした取り組みが外資系の大手IT企業(東京)の目にとまり、「変革」をテーマに講演することになりました。
私には、日本のおいしい食べ物を自分の手で海外に広めたいという夢があります。まずは、親日的な米カリフォルニア州への進出を目指して昨年10月と今年4月に現地を訪れ、マーケティング調査と人脈づくりを始めました。
現地に店を構えるのか、それとも現地にあるスーパーのサプライヤーとして日本の食品を供給していくのかは今後検討します。
私は今年2月、中小企業の後継者を対象に新規事業のプランを競う「アトツギ甲子園」(主催・経済産業省)全国大会に新潟県勢として初めて出場しました。会場では、海外進出の夢をアピールしました。
全国の新進気鋭の若手経営者たちとの交流は、見識や人脈を広げる意味で意義深いものがありました。こうした経験を私だけで終わらせることなく、新潟全体に広げるためにも、新潟県にはアトツギ甲子園出場をサポートする仕組みを作ってほしいと思います。
目指すは“スーパー業界の異端児”です。私はこの世界ではまだ素人ですが、素人だからこそ常識にとらわれず、新しい風を吹かせることができると思っています。スーパーが活気づくと、その地域が活性化されます。地域のためにも、新しいことにチャレンジしていきたいと思います。
(聞き手 本田賢一)
くりばやし・れな 平成3年3月生まれ。新潟市南区出身。立命館大産業社会学部を卒業後、東京の人材会社やソフトウエア商社に勤務。令和2年、父親が経営するスーパー「マスヤ味方店」で働き始め、3年から店長。趣味はおいしいものを食べること。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授