大阪市の人工島・夢洲で開催中の大阪・関西万博で、清掃会社5社が協力し、エコできれいな会場運営に貢献している。専用のアプリで汚れた場所や状態をスタッフ間で共有し、清掃の品質と効率化を実現。
大阪市の人工島・夢洲で開催中の大阪・関西万博で、清掃会社5社が協力し、エコできれいな会場運営に貢献している。専用のアプリで汚れた場所や状態をスタッフ間で共有し、清掃の品質と効率化を実現。ごみ捨て場では訪日客を含めた来場者の分別をサポートするなど、日本の美意識とおもてなしの発信にも努めている。
「万博会場はいつ行ってもきれい」。何十回も通う来場者にそう声をかけられ、「やりがいを感じる」と胸を張るのはダスキンの松山敦・コントラクト推進室長だ。
会場は約155ヘクタールの広さを誇り、1日10万人超が集まるが、歩いてもごみがほぼ見当たらず、ごみ箱や休憩用のベンチ、テーブルに汚れはない。きれいな会場が多くの来場者に評価されている。
約1300人の清掃員が従事し、ダスキン、イオンディライト、東洋テックビルサービス、ビケンテクノ、美素建物管理の5社がエリア別に分担。その日の想定来場者数に応じて1日当たり約220〜300人が午前7時から午後11時まで2交代制で清掃にあたる。
清掃は通常、各社でノウハウが異なるが、統括管理を担ったダスキンは今回、清掃の品質基準などを定めた共通マニュアルを作成した。
作業の効率化を助けているのがGPS(全地球測位システム)を使った専用アプリ。清掃マネジャーが会場を巡回し、ごみや汚れの写真や位置情報を共有する。マネジャーを務めるダスキンの大坪力さんは「何を用意しどこへ向かうべきかが一目で分かる」と利点を強調。「対応済み」などもアプリ上で報告し、点数で評価を返すなどして品質を維持している。
環境に配慮した万博運営として、50カ所設置されたごみ捨て場では紙や缶など9種類に分別する規定があり、来場者に分別を呼びかけるのも重要な業務となる。分別の習慣がない国からの来場者や煩わしく思う人もいることから、やらされていると感じずに気持ちよく協力してもらうため、ジェスチャーも活用しながら分別の意義を伝えるようにしている。
ごみ捨て場は最近、一部に装飾を施すようになった。5月には小さなこいのぼり、7月は折り鶴をごみ箱の上に飾り、日本の季節感や文化を表現。写真に収める訪日客も珍しくないという。
松山室長は「万博での清掃を通じて、日本のきめ細かさやきれいさ、おもてなしを発信していきたい」と意気込んでいる。(田村慶子)
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