インドアゴルフにどんな未来が 米で誕生 リアルと仮想融合 夢の新リーグ

世界のトッププロが巨大スクリーンに向かってティーショットを放つ「バーチャルゴルフ」と、天然芝の上で繰り広げられる白熱のショートゲームの「リアルゴルフ」が融合した新時代のゴルフ。いったいどんな世界なのか――。

» 2025年07月24日 09時11分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 最終章は「インドアゴルフ」の《未来》のお話である。いや、すぐそこの《明日》のことかもしれない。ことし1月に米国で開幕した室内ゴルフの新リーグ「TGL」がまさにそれだ。世界のトッププロが巨大スクリーンに向かってティーショットを放つ「バーチャルゴルフ」と、天然芝の上で繰り広げられる白熱のショートゲームの「リアルゴルフ」が融合した新時代のゴルフ。いったいどんな世界なのか――。扉を開けてみよう。

バンカーも設置している「TGL」の会場(住地ゴルフ提供)

トッププロ間近に

 「TGL」の世界とは―。1月に実際に観戦した住地ゴルフ最高執行責任者(COO)兼一般社団法人ゴルフライフデザインの代表理事・木下裕介氏(32)にナビゲーターをお願いした。

 「野球やアメリカンフットボールを観戦するようにゴルフがスタジアムスポーツになっているんです。アリーナの中は音楽が流れ、ファンは気楽にお酒を飲みながら目の前のトッププロのプレーを楽しむ。そんな夢のような発想を実現してしまうところが、アメリカらしいなと思いましたね」

室内ゴルフの新リーグ「TGL」の会場を視察した住地ゴルフCOOの木下裕介氏(左)と小林忠広社長(住地ゴルフ提供)

 「TGL」は米フロリダ州パームビーチガーデンズ、パームビーチ州立大学のキャンパス内に建てられた専用スタジアム「SoFiセンター」で開催された。

 「TGL」はトッププロのタイガー・ウッズ氏とロリー・マキロイ氏が設立した新リーグ。「TGL」の「T」は2人の設立会社「TMRW」から取られたといわれており、新時代のゴルフリーグというわけだ。

 アリーナの中には巨大スクリーンがあり、選手たちはまずそれに向かってショットを放つ。打球は18台のレーダーと8台の光学カメラで解析され、スクリーンに投影される。これが《バーチャルゾーン》。そして50ヤード以内のショートゲームは、アリーナのもう半分に造られたグリーンに向かって、実際のゴルフと同じようにプレーする《リアルゾーン》だ。

 リアルゾーンの大きさはバスケットボールのコート4面分もあり、全体でアメフトのフィールドほど。その周囲にスタンドがあり1500人近い観衆を収容できる。木下氏によると「観客を飽きさせないいろんな工夫がされている」という。

日本も広がり期待

 ゲームの面白さはもちろん、1ホールが終わると、運営スタッフが次のホールを設営する。グリーンは油圧式で回転し、傾斜もアンジュレーションもピンの位置も変わる。

 「そのスタッフの素早い動きや設営の様子は、見ていて面白い。それに選手全員が胸にマイクを装着しており、選手同士の会話やチームの作戦も聞こえる。スクリーンの映像も革新的でピンの旗竿にカメラがつけられているので、ピンに向かってくるボールが見られるんです」

 その他にも選手の1打の持ち時間が「40秒」と設定されており、スクリーンの横に表示される。オーバーすると1打罰だ。午後7時にスタートしたゲームが9時には終了。このスピーディーさも魅力のひとつだ。木下氏は最後にこう締めくくった。

 「近い将来、日本でもきっと同じようなゴルフが開催されるでしょう。気候に左右されず、交通の便のいい場所で楽しく、トッププロのプレーを楽しむ。ゴルフをやったことがない若い世代の人たちもこの楽しさに触れることでゴルフを始めるかもしれない。ゴルフの裾野は広がる。それが一番素晴らしいことだと思います」(田所龍一)

TGLとは

■世界のトッププロ24選手が4人ずつ6チームに分かれ、勝ち点を競い合う総当たり戦でレギュラーシーズンを戦い、勝ち残ったチームでポストシーズンを戦う。

■賞金総額は2100万ドル(約32億円)、優勝チームに900万ドル(約13億5000万円)。単純計算で1人当たり225万ドル(約3億4000万円)。

■ゲームに出場するのは4人中3人。米プロゴルフ協会(PGA)のトーナメントが終わった月曜日に開催される。

■競技は15ホールのマッチプレー団体戦。

■ポストシーズンの決勝戦(2試合制)がことし3月に行われ、アトランタ・ドライブGCがニューヨークGCを6−5、4−3で破り、初代王者に輝いた。

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆