「会議が多すぎて本来の業務が進まない」──多くの企業で見て見ぬふりをされている、もはや手の付けようのない普遍的な問題。これを解消した企業がある。生成AIスタートアップのGenerativeXだ。
GenerativeXは、生成AI活用のコンサルティングや受託開発を行うスタートアップである。自らも生成AIを活用し、業務効率化と生産性向上を実現している。
驚くべきは、社内会議がほとんどないことだ。定例会議は完全に廃止。突発的な会議も月に1〜2回、本当に必要なタイミングでしか開催されない。
「生成AIをフル活用しているからこそ、実現できる文化」というが、果たしてどのように実現されているのか。同社の代表取締役 CEO 荒木れい氏に話を聞いた。
同社が設立されたのは2023年。設立から2年で、パートタイムも含めて約60人の体制に成長している。
正社員の業務は基本的にクライアントワークになる。フロント社員は全員が営業であり、コンサルタントであり、プログラマーも兼ねる。
業務の裏側では、自動コーディング支援AI「Devin」や自社ソリューションなど、各種生成AIツールを用意している。それらを駆使して、クライアント向けの納品物を最短で作り上げるのが同社の方針だ。生成AIの高速な進化に追従するために、業務上の一切の無駄を排除している。社内会議の削減もその一つである。
急成長のスタートアップと聞くと、フルリモートワークや賑やかなオフィスの自由闊達な職場を想像するかもしれない。しかし、同社は、原則フル出社で、全員がスーツ着用。オフィス内では私語を控え、Slackでのやり取りも敬語を基本とする。
「社内コミュニケーションがおろそかな社員にはクライアント対応を任せられない」という方針から、厳格な規律の下で業務に臨んでいる
冒頭で触れたとおり、同社には社内の定例会議が存在しない。「会議は、時間を奪う最大のコスト要因」という考えからだ。
定例会議には、多くの場合、情報整理や資料作成の事前作業が伴う。これに相応の時間がとられるうえに、会議中は当然ながら、参加者全員が拘束される。この膨大な業務時間が、情報共有や意思決定という「会議の目的」を達成するうえで不可欠なものかというと、決してそうではないことが多いだろう。
また、定例会議が設定されると、簡単な報告や相談も次回の開催まで持ち越され、意思決定が遅くなるという問題もある。
「当社では1週間もあれば、業務や課題は一区切りして、次のことに取り組んでいるのが通常ですので、定例会議はビジネスのスピードを落とす足かせになりかねません」(荒木氏)
そうした時間の浪費を避けるために、GenerativeXではコミュニケーションのかたちを「必要なときに必要な人だけが集まる」アドホック型に切り替えた。定例会議を廃止し、対話が必要になったときに必要なメンバーがすぐに集まる方式を採用している。重要な意思決定も、その場で結論を出し、即座にタスク化して実行に移すというのが基本ルールだ。
「変化の激しい生成AI業界では、ビジネスのスピードが非常に大事です。これを保つのに定例会議は排除する必要がありました。社内でスケジューリングされることがあれば、私が都度そのスケジュールを消し、撲滅しています」(荒木氏)
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授