――その後、2011年にご自身でイエラエセキュリティを創業されます。きっかけは何だったのでしょうか。
牧田氏: 大きな理由は2つあります。
一つは、創業前まで発注者としてセキュリティコンサルティングを利用していたのですが、多くは値が張るのにお世辞にも品質が良いとは言えなかったこと。もう一つは、世界的なハッキングコンテスト「DEF CON」に出場するようなトップレベルの技術者たちの給料があまりにも低かったことです。
そこで、「最高品質×最低価格×高利益率」を掲げ、お客様には高品質なサービスを適正価格で提供しつつ、優秀なホワイトハッカーには高い給与を支払う会社を作りました。
――エンジニアへの報酬にはかなりこだわっていたようですね。
牧田氏: イエラエセキュリティでは、採用したばかりの新卒社員が、社長である私よりも高い給与をもらっているケースが普通にありました。プロスポーツ選手と同じで、提供できる価値が高いのであれば、それに見合った報酬を得るのは当然です。イエラエセキュリティに入って年収が2倍3倍になるのは当たり前で、人によっては、5倍になったエンジニアもいました。
知識・スキルの高いエンジニアが多かったので、他社が「安全です」と判断した環境でも、私たちが見ると「ここから入れます」と言えるケースが少なくなかったですね。
――ビジネスとしての反響はどうでしたか?
牧田氏: ありがたいことに、お客様から高く評価してもらいました。
最初の顧客5社中4社からは、契約更新のタイミングで先方から「値上げ」交渉されました(笑)。「安すぎるから、もっと乗せていい」「イエラエセキュリティが潰れてしまったら困るので、予算を確保した」と言ってもらったのは本当にうれしかったですね。
営業やバックオフィス業務を全て私一人が行うことでコストを抑え、その分をエンジニアの給与に還元していたので、驚くような低価格で最高品質のサービスを提供していたんです。その結果、「頼むから仕事を受けてほしい」と言ってもらえる関係が築けました。
――牧田さんが活動の中心に置いている価値観は何でしょう。
牧田氏: 軸はずっと「人を助ける」です。人を助けるために会社を作って、サービスを提供している。そこは変わりません。
人を助けるためには、当然、自分が強くなきゃいけません。だから、私たちは技術を磨くし、鍛えるんです。
とはいえ、セキュリティは、突き詰めると本当に面白いし、感動する瞬間もあります。魔法みたいに見えるけれど、種も仕掛けもあるマジックなんですよね。その理解が深いほど、守れる幅も広がっていく感覚です。セキュリティ技術を磨くことは決して苦行ではありません。
――GMOインターネットグループに入った背景を教えてください。
牧田氏: 「人を助ける」の範囲はもともと私の周りだけだったのですが、創業してサービスを提供していると、だんだん日本全体に意識が広がったんです。
ただ、自分たちだけで全国にリーチするには10年単位で時間がかかると思いました。対して、GMOインターネットグループはドメインやレンタルサーバなど、インフラ領域でシェアが大きく、日本の中小企業330万社超とつながっています。日本全体に届けられるセキュリティサービスになるかもしれないと考えて参画しました。
――具体的にどのようなかたちで日本全体にサービスを届けようとしているのでしょう。
牧田氏: GMOインターネットグループと契約するドメインやWebサーバのアカウントなどに対して、追加料金なしで自動診断して、問題が発見されたら通知するサービスを提供しています。
セキュリティって、大きなインシデントを聞いても、どうしても他人事になりがちです。でも、「あなたの環境にこういう課題があります」と分かると、途端に自分事になります。課題が見えれば対策できるし、セキュリティ意識も高まると思います。
――自分事化が大事ということですが、通知の出し方で気を付けている点はありますか。
牧田氏: 分かりやすく伝えることを常に考えています。ただし、不安を煽りすぎないように注意もしています。パニックになる情報は迷惑なだけなので、冷静な行動につながる伝え方が大事です。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授