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» 2010年04月02日 08時15分 UPDATE

ITmedia エグゼクティブセミナーリポート:不況を人材育成の追い風に ITR・内山氏

景気低迷により多くの企業でIT投資が削減される中、情報システムのクラウド化やアウトソーシングが注目を集めている。これによりIT部門が不要になることは決してなく、むしろコアスキルを持ったIT人材の育成が不可欠になるという。

[伏見学,ITmedia]

 アイティメディアは3月17日、経営層に向けたセミナー「第14回 ITmedia エグゼクティブセミナー」を開催した。基調講演に登壇したIT調査会社、アイ・ティ・アール(ITR)の内山悟志代表がIT部門における人材のあり方について考えを示し、企業は今こそ人材の育成に投資するよう促した。

ITRの内山悟志代表 ITRの内山悟志代表

 昨今の世界的な不況により企業の経営状況が危ぶまれる中、従業員のリストラを断行する企業が後を絶たない。しかしながら、人材こそ企業の経営資産であり、簡単に手放すものではなく、育成することで企業にとって大きな武器となる。今回の不況はIT部門にも大きな打撃を与えたが、内山氏は人材育成における2つのチャンスが生まれたと強調する。1つ目は、IT投資が抑制されることで次々にシステム構築ができないため、長期的な内部マネジメント改革に目線を移すチャンスであること、2つ目は、経営者から企業のITそのものに対する期待が高まっており、変革が求められているというチャンスである。

 例えば、業務のアウトソーシングはIT人材を育てる1つの機会といえる。経営者にとってはシステムの開発、運用のコストを下げるためにアウトソーシングの動きを活発化していきたい一方で、IT部門の現場としては開発や運用の実行能力を放棄することによる技術の空洞化を懸念するのが通例であるが、たとえITにかかわる大半の業務をアウトソースしたとしても、「企業側で残さなければならないコアスキルは何か、コア人材をいかに育成していくのかが非常に重要」(内山氏)となるのである。同様に、クラウドコンピューティングによって自社で抱えるシステムが縮小していくとしても、何かしらの機能が社内に必要であることは変わらないのだ。

ベンダーの言いなりにならないために

 では、どのようにIT人材を育てていけばいいのか。内山氏はIT部門が備えるべき必須の能力として、「要件定義力」と「SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証契約)」、「提案の評価力」および「RFP(Request For Proposal:提案依頼書)」を挙げた。前者の2つはユーザー部門と接する際に必要なスキルで、後者の2つはITベンダーとのやり取りにおいて欠かせないスキルである。

「ユーザー部門以上に業務を知っている必要はないが、少なくともコミュニケーションがとれるほどの知識は必要だ。ITに関しても最先端の細かい技術までを把握している必要はないが、まったく知らなければベンダーの言いなりになってしまう」(内山氏)

 実際に、ユーザー部門の業務やベンダーが提案する技術を知らずに失敗した企業が少なくないと内山氏は話す。

 こうしたスキルを身に付けるためには、人事ローテーションなどを含めたキャリアマネジメントが重要だという。特に内山氏は「若いうちにIT部門に人を送り込むべきだ」と説く。IT部門には情報システムを通して企業全体を見る目、論理思考、手順化や標準化のノウハウ、全体最適の視点などを備えた人材がそろっており、こうしたスキルはIT部門のみならず、企業のあらゆる部門において有効なものとなるからだ。

 IT部門は、かつてのように、ネットワークなどのインフラを整備し、アプリケーションを開発し、システムを安定稼働させるだけの役割ではなく、企業がビジネスを遂行する上で不可欠な存在となり、責任範囲は確実に広がっている。そのため、先導的な役割を担うCIO(最高情報責任者)やIT部門長は「より幅広い視野を持ち、ITにかかわるマネジメントの全体像と、(自社だけでなく他社の取り組みも含めた)ベストプラクティスを理解することが肝要だ」と内山氏は述べる。

「IT部門で経験を積んだ人材をユーザー部門に送り出し、ビジネスとITの橋渡し役として、ユーザー部門におけるITの活用に貢献させることが望ましい。CIOは優秀なIT人材をどんどん社内に輩出していくべきだ」(内山氏)

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