次代の経営を担うIT部門リーダーを育てる私塾(1/2 ページ)

人材育成は重要だ。これはどの企業も理解していることだが、即効性のなさから二の次になりがちである。しかし将来の経営を見据えた場合、若手社員の成長なくして企業の成長はない。

» 2009年11月11日 14時30分 公開
[伏見学,ITmedia]

 世界を震撼させたリーマン・ショックから1年あまり。株価暴落、つるべ落としの採算悪化、円高に伴う輸出産業の不振など、この間に日本企業が受けた影響は計り知れない。調査会社の帝国データバンクによると、2009年上半期(1月〜6月)の倒産件数は7023件で、半期ベースで7期連続の前期比増加となっている。負債総額は4兆5941億6000万円に上り、前年同期比で52.2%の大幅増という結果だ。

 こうした経営環境において企業が大々的なコスト削減を進める中、かねてより情報システムの開発や運用などで高コスト体質を指摘されていたIT部門への投資縮小は避けられず、改めて存在意義を問われている。本来ならば経営基盤を支える部門になるべきはずが、このままではお荷物部署になりかねない。IT部門が今するべきことは何なのか。

若手ホープを集めた私塾

若手の育成に力を注ぐITRの内山悟志社長 若手の育成に力を注ぐITRの内山悟志社長

 「新規投資が難しいときこそ人材育成に努めるべきだ。即効性はなくても10年後の会社の力量を左右する」。こう語るのはIT関連の調査やコンサルティングサービスなどを手掛けるアイ・ティ・アール(ITR)の内山悟志社長だ。同氏は常日ごろよりIT部門の人員の空洞化による人口ピラミッド問題や部員のモチベーション低下など、IT人材にまつわる諸問題に警鐘を鳴らしている。

 外部からあれこれ意見を述べる“評論家”では終わらない。IT部門の人材育成に貢献すべく、2008年には主に企業のIT部門に所属する20代後半から30代前半の社員を対象にした次世代リーダーズ・フォーラム「内山塾」を始めた。ここではビジネスにおける問題解決力の習得を目的に、カードBS法をはじめとするブレーンストーミングの手法や、課題を構造化して整理するイシュー・ツリーの活用方法などを指導する。週に1度、3カ月にわたり、各社から送り込まれた若手のホープがITRの会議室に集まり熱い議論を交わす。

 内山塾の狙いはもう1つある。それは横のつながりをつくることだ。ユーザー企業およびベンダー企業の社員が1つの土俵に入り混じって意見をぶつけ合うことで視野が広がり、仕事におけるお互いの立場を理解できるようになる。さまざまな業界の情報システム担当者との人脈を構築することもできる。受講者からは「内山塾に参加するまでは他社の同世代の人たちと交流する機会がなかったが、例えば勉強会の後に飲みながら業務の苦労などを共有できるようになったことが嬉しい」という声も聞かれた。

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